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拾肆話 ページ15

沢村side

A「君よりも幼い時に全てを失ったかのような顔をした奴がいた。今までできていたことがあることを境に出来なくなる。それが嫌で自分を追い詰める。そういう奴がいた」

『俺よりも幼い時に……』

A「まぁ、スポーツで言ったらイップスみたいな物だ。奴は今でも克服できていないし、そんな自分が嫌だと思っている。」

『なんで…………なんでなんですか』

A「役に立ってないと思っているのだろう。君も気づいているんじゃないのか?立ち直れない自分がいやでお荷物なんじゃないかって」

『まぁ少しは思ってます』

A「それと同じだ」

『でも、なんでそれが俺を預かりたいという理由になったんですか』

A「君みたいに純粋な子が俺の周りにもいるんだ。立ち直らせてやりたい。そう思っただけだよ」

『これから何をするんですか?』

A「沢村、全てのことに必要なことってなんだと思う?」

全てのことに必要なこと?

『気持ち?』

A「残念、呼吸だ」

呼吸?俺たちが無意識でやっているあの

A「そう、普段何気なくやっている呼吸だよ。君には全集中常中の呼吸を教えようと思う。この呼吸は、心身共に落ち着くから、いざという時に本領を発揮することが出来るし、ランニングしてても疲れにくくなる」

全集中常中?

A「それが出来るようになるまでここに居てもらう」


『あの、野球の練習は?』

A「グローブとバットなら持ってきている。庭で素振りをしてもいいし、キャッチボールなら俺や、友人が相手してやる。帰って御幸達を驚かせようぜ」

この人とならもっと上手くなれるのかな?確かに、先輩たちを驚かせたいけど、急成長したら問い詰められるんじゃないのか?

A「そこまで、深く考えなくていいよ。呼吸は明日からやろう。寝れるんだったら寝てた方がいいよ。夏休み前には、寮に戻らないといけないだろうから少しハードなやり方でやるから」

『わかりました』

A「夕飯食うか?前みたいに食えてなかったんだろ?」

『はい。食べても吐くことが多くて……』

A「そうか、食べれそうか」

『はい。心が少し楽になったんで食べれそうです』

A「敬語じゃなくて構わない。嘉田海ではなくAと呼んでくれていい」

『あ、わかった』

この人といるとすごく落ち着く。不思議な感覚だ。今日はすごく寝れそうな気がする。

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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説ないんで (2020年11月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結依 | 作成日時:2020年10月31日 18時

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