拾参話 ページ14
沢村side
目を覚ますとそこは知らない場所だった。体を起こそうとすると
A「もう少し寝てて構わない」
『いや、でも……』
A「最近寝れてなかっただろ?そばに居てやるからもう少し寝てな。クマが酷い」
まるで俺の全てを知っている感じがした。横になると嘉田海先輩が俺に抱きついてきて先輩の胸に俺の顔がある状態だ。少し恥ずかしい。
A「人の心拍や体温は安心できる要素の1つなんだ」
確かに暖かいし、落ち着く。あの日からずっと独りだった気がしてたから余計に感じる。
A「辛かっただろう。泣きたいなら泣いて構わない。この屋敷の周りは人が住んでいないからな」
その言葉に温もりがある。だってあの日から俺はチームの邪魔者になった気がして、誰とも話さなかったから。ずっと泣くのを我慢していた。
A「もう、我慢しなくていいんだ」
その言葉で俺は泣いた。誰かにそばにいて欲しかった。先輩でも春っち達でもいいから、誰かにそばにいて欲しかった。それがようやく叶った。俺は泣き疲れたのか再び眠りに入った。
沢村side終了
沢村が熟睡するのを確認して、俺もしばらく寝ることにした。
数時間後
しのぶの気配がしたので目を覚まし、戸を開けると案の定たって待っててくれた。
し「寝てましたね?約束の時間より10分遅れてますよ(黒笑」
『すまない。例の子と寝てた』
し「そうですか。上がりますよ」
『嗚呼』
部屋に行き、沢村を起こす。
沢「隣の人は?」
し「初めまして沢村君。私は胡蝶しのぶです」
沢「初めまして。どうして俺の名前を……」
『俺が頼んだからだ。女で申し訳ないが、しのぶに身体見てもらえ。俺は暫く居間に居る終わったら声掛けてくれ』
し「わかりました」
数十分後、診察を終えた沢村としのぶは今に来た。
し「体に以上はありません。ココ最近眠れていないようなのでしっかり休養するようにしてください」
『助かった』
し「いえ、これも私の仕事です。では、私は帰りますね」
『嗚呼、ありがとな』
しのぶが帰ったあと、沢村と話すことにした。
沢「どうして俺をここに…」
『君はある奴に似ている顔をしていたからかな』
沢「ある奴ですか……」
『嗚呼、君よりも幼い時に全てを失ったかのような顔をした奴がいた。今までできていたことがあることを境に出来なくなる。それが嫌で自分を追い詰める。そういう奴がいた』
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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説ないんで (2020年11月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結依 | 作成日時:2020年10月31日 18時