拾話 ページ11
夏休み中旬
俺は青心寮の近くで任務があるので練習を見に行くことにした。
高「あら、嘉田海君。練習見に来たの?」
『はい。今晩は近くに用があるので』
高「川上くん達が喜ぶわ」
『そうですか。俺はここにいますね』
高「わかったわ。監督には一応言っておくわ。あと、私の授業寝ないでね」
『…………善処します』
だって英語訳分からないし面白くないんだ。中身は大正時代の成人だぞ。異国語なんて受け入れられない体質なんだよ。←と言いながらテストは満点
片「嘉田海、来てたんだな」
『今晩、近くに用があるので見に来ました。あと、これ差し入れです。良かったら食べてください』
片「川上たちも喜ぶと思う。」
『ありがとうございます』
片「お前、ここに来る時何時も羨ましそうに見るよな。」
『俺には無縁の生活ですから、彼らが羨ましいと思ってしまうんだと思います。顔に出てましたか?』
片「いや、顔には出てないがそういう感じがしたから」
『そうですか。休憩に入ったみたいなんで俺、ノリたちのところ行ってきますね』
片「嗚呼」
片岡side
俺には1人気になる生徒がいる。彼の名前は嘉田海A。嘉田海には1年の時は担任を任され、今でも現国を教えている。彼は、表情を表に出すことはあまりしない。試験はほとんど満点。国語は現古漢全て満点。
ただ一つだけ気になることがある。彼は三者面談は何時も断ってくる。“親が病気なので2者面談でお願いします”と言ってくるのだ。
個人情報が書かれてある書類に目を通しても、彼の親のことについては書いていない。出身小学校や中学校も書かれていないのだ。
1年最後の2者面談の時、俺は彼に聞いた。なぜ、三者面談を拒むのかと。彼はこう答えた“俺は幼少期に両親をなくしています。今は、知り合いに親代わりをしてもらっているので、負担はかけられないからです。”それでもお前は子供だろ?と聞くと“少なくともここの生徒よりは大人ですから”とはぐらかす。誰にも言わないって言う圧が凄かったのを覚えている。
そして、彼は人の視線や感情にすぐ気づく。今年の夏、結城達を甲子園に連れていくことが出来ずに辞表を出そうと思った時“今、貴方が辞めれば御幸達が崩れますよ。辞めるなら、後悔、未練を無くしてからやめてくださいよ。”と俺の思っていることを代弁するかのように言った。
兎に角、嘉田海は誰にも言えない何かを隠している。俺はそれを話してくれるまで待とうと思う。
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マリイ - 丹波光一郎の小説も書いて欲しいです丹波さん好きだけど小説ないんで (2020年11月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結依 | 作成日時:2020年10月31日 18時