恋する群青 (ページ16)

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「それは…出来ない」

「何様のつもり？小笠原くんはあんたみたいな女眼中にないから」

「私と海は友達だから、」

「は？"海"って呼び捨てで呼んでんの？」

「…そうだけど、それが何？」

「ほんとムカつく」

そう言ってその女子は私の肩を強い力で押す。

「い…っ、た」

「私達知ってんのよ。あんたあの先輩に告白して振られたんだってね」

「…………」

「馬鹿じゃないの？先輩があんたの告白オッケーする筈ないじゃん」

「…そんな事分かってる、」

「どうせ調子に乗って軽い気持ちで言ったんでしょ？」

「…違う」

「もっと身の程知った方がいいんじゃない？」

そう言って目の前にいる女子達が声を上げて笑い出す。

私の気持ちも知らないくせに何でそんな事が言えるんだろう。

あまりの悔しさに涙が滲む。

でもここで泣いたら彼女達の思う壺だ。
そう思って自分の掌を必死に握りしめて下を向く。

「何？泣いてんの？そうやって悲劇のヒロインぶるのやめなよー」

「……ちがう、」

「そうやって小笠原くん達の事もたぶらかしたんでしょ？」

「……っ、」

「何とか言いなさい…よ…、え？」

それまで強い口調で話していた女子が突然言葉を詰まらせた。

不思議に思い顔を上げようとすると、ふわっとあの香りがした。

「え…、何で？」

女子の一人がそう呟くのと同時に、私の視界いっぱいに大きい背中が広がった。

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