恋する群青 (ページ14)

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暫く話をしてから先輩とは別れて、ユカと拓弥の元へ戻ろうと海と一緒に歩く。

「海、ありがとね」

「いーえ」

「ああ～先輩やっぱかっこいいなぁ～」

「はは、何だよもう未練はないんじゃねーの？」

「未練はないよ？でも好きだった人には変わりないし」

「……俺さ、Aが羨ましいよ」

「へ？」

突然ボソッと呟く海。
私、海に羨ましがられる事したっけ？

「そんな風に人の事好きになった事ないからさ、俺」

「え、そうなの？」

意外だった。
モテるから恋愛経験豊富なのかと思ってたけど、それとこれとは別なのかな。

「でも彼女いた事くらいあるでしょ？」

「それはあるけど…相手の事本気で好きだったかって聞かれると即答出来ないって言うか…」

「それって、好きでもないのに付き合ったって事？」

「うーん。好きだった…とは思うけど」

悩ましい声で話す海。
私には分からない何かがあるのかな。

「海もいつか分かるよ」

「え？」

「いつか、心から大事だと思える子に出会えると思うよ」

「…だといいけどな」

「その時は、私にちゃんと報告してよね？」

「はいはい。Aに一番に言うよ」

「うん！楽しみにしてる」

「はは、何だそれ」

何年か後にこの時の自分の言葉に苦しめられる事になるとは知らない当時の私は、呑気に彼の隣で笑っていた。

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