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「あづいい〜…」
「暑いね…」
「ねぇA〜何処か日陰行こうよ…」
「もうすぐ試合始まるからダメ」
「え〜…」
高校二年の夏休み。
今日はユカと一緒に、海と拓弥に誘われてサッカー部の試合を観に来ている。
炎天下の中、椅子に座って試合開始を待っている所。
既に暑さにやられ始めているユカを横目に、選手たちが集まっているグラウンドに視線を移すと、ユニフォームを身に纏った海と拓弥の真剣な顔が見える。
誘われた時に聞いた話だと、今日は先輩の引退がかかった大事な試合らしい。
夏休みに入ってからは、ダンス部に顔を出す余裕がなくなるくらいサッカーの練習に没頭していた海を思い出しながら心の中でエールを送る。
「ねえねえ」
ユカが私の肩を叩いて、耳元でコソコソと話し出す。
「ん？何？」
「うちの高校の応援席、やけに女子多いと思わない？」
ユカのその言葉を聞いて周りを見渡すと、確かに相手高校の応援席より多い気がする。
「言われてみれば…でもそれがどうしたの？」
「前聞いたんだけど、拓弥とかオガくんを観に来てる女子が結構いるらしいよ」
「え、そうなの？」
「うん」
モテるらしいとは前から聞いていたけど、まさかこんなに人気があるなんて思わなかった。
でも、私も先輩が練習している姿をこっそり観に行ったりしていたからあの子達の気持ちは凄く良く分かる。
好きな人が頑張ってる姿って堪らないよね。
そんな事を考えていると、観に来ている女子の一人と目が合った。
その女子は、私と目が合うと少し驚いた顔をして、周りに座っている友達らしき人達に話しかけながらこちらを見ている。
少し、嫌な予感がした。
何を話しているのかは聞こえないけど、好意的なものではない事はその表情から分かった。
気にしても仕方ないか…と思いながらグラウンドへと視線を戻すと、丁度試合開始のホイッスルが鳴った。
「あ、始まったね」
「ほんとだ。拓弥〜！オガくん〜！頑張れ〜！」
さっきまで暑くてバテていた人とは思えないくらいの声で二人の名前を呼ぶユカ。
この後接戦の末、勝利を納めた我らがサッカー部。
今日の試合の日程が全て終了すると、ゾロゾロと観客席のスタンドから人がはけて行く。
「私達も行こうか」
「そうだね」
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作者名：京 | 作成日時：2019年2月24日 23時
