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「祐基くんさえ良ければ…だけど、」
何言ってるんだろう、私。
普段の自分だったらこんな事絶対に言わない。
「……いいの?」
「、うん」
「じゃあ…お願いします」
祐基くんの返事を聞いた途端、自分で言い出した事なのに顔が少し引き攣る。
二人で階段を上がって、部屋の前へと向かう。
「散らかってるけど…どうぞ」
「お邪魔します」
鍵を開けて、祐基くんを中に案内する。
キョロキョロとしている祐基くんに「適当に座ってて」と言い残してキッチンへ飲み物を取りに行く。
「お茶で大丈夫?」
「あ、うん。ありがとう」
祐基くんの向かい側に座る。
「Aちゃん、本当にごめんね」
「う、ううん」
「…………」
「…………」
流れる沈黙の時間。
祐基くんの話すのは、飲み会のあの時以来だ。
あ………
そもそも彼にはお付き合いしている人がいるんだ。
自分がしている事の重大さに今更気が付いた。
「私から言った事だけど、祐基くん大丈夫?」
「…?…何が?」
「仮にも私女だし…大丈夫かなって、」
「あ、いや、うん…大丈夫じゃないかも…?」
やっぱりそうだよね…
彼女がいる男の人を自分の家に招くだなんて何してるんだろう。
「…祐基くん明日はお仕事…?」
「うん、一応」
「何時から?」
「遅番だから11時頃ここ出れば間に合うかな」
「そっか、」
明日もお仕事だったら早めに休みたいよね。
「先にシャワー浴びてきていいよ」
「えっ!?」
「え?」
何故か過剰に反応した祐基くんに少し驚きつつ「一応お客さんだし…」と言うと「ああそういう事か…」と言いながら頭を搔いている。
「廊下出て右側がお風呂だから。タオルとかは脱衣場置いておくね」
「あ、うん。ありがとう」
そう言って立ち上がりお風呂へ向かう祐基くんを見送ると同時に、緊張から解き放たれる。
「はあ〜…どうしよ、」
家に上げたはいいものの、その後の事を考えていなかった。
一度、祐基くんの家で一晩過ごした事はあるけど、その時は完全に寝落ちしてしまってあまりその自覚がなかった。
その時とは違い、今回は完全に意思があっての事だから余計に意識してしまう。
「取り敢えず、タオルと着替え…」
クローゼットを開けて、服を漁る。
自分が持っている中で一番大きいTシャツとハーフパンツを出して、タオルと一緒に脱衣場へ置く。
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京(プロフ) - フレッシュいちごパフェさん» コメントありがとうございます。拙い文章で申し訳ございません。全体的に分かりにくかったでしょうか。もしこの部分というのがありましたら修正したいと思います。わざわざご指摘ありがとうございました。 (2019年4月1日 20時) (レス) id: 4f5277fea8 (このIDを非表示/違反報告)
フレッシュいちごパフェ(プロフ) - 誰が話しているか分かりません、面白いけど、誰が話しているかわからないのがちょっとマイナスです (2019年4月1日 16時) (レス) id: bb430c8d04 (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 菜々子さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。これからもよろしくお願い致します! (2019年2月20日 17時) (レス) id: 4f5277fea8 (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - すごく面白くてキュンキュンしてます!更新楽しみに待ってます! (2019年2月20日 2時) (レス) id: e1ec4f3b2d (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - はい!! (2018年11月29日 3時) (レス) id: a6267e5e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京 | 作成日時:2018年11月7日 21時