さよなら,どたばた生徒会【stpr】

ひみつの共有 ページ30

小晴side



ﾊﾟﾀﾝ



ころん先輩のタオルを替えようと
洗面所から水入りの桶を持ってきた



こ)…こはる


消え入りそうな弱々しい声でボクを呼ぶ



小晴)どうしたですか。熱、だいじょぶです？



あまり慣れていない敬語で話すボク


その口調がおかしいのか、ふふ、と微笑む論さん



こ)小晴…すきなこ、いるでしょ？




突然すぎる一言に、体が強ばった



小晴)…何でそう思ったんですか？



たずねてみると、答えはシンプルだった



こ)みてたらわかるよ



小晴)…そう、ですか。ボク、ばかですよね。



へへ、と愛想笑いをする



こ)おいで



急に起き上がって、両手を広げる論さん



疑問を抱きながらも近寄るボク



小晴)わぁっ…！？！


ﾄﾞｻｯ


体がよろめき、論さんと同時にベッドに落ちる




ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ



ボクに抱きついたまま、頭を撫でる論さん



こ)…小晴は、なんで「ボク」っていうの？


小晴)…「私」なんて似合わないからですよ


透き通った声のせいか、ぽつり、と
誰にも言ったことないことを言ってしまった




こ)じゃあ、髪がショートカットなのは？


小晴)…ロングなんて、女の子らしいの
ボクには…似合わないです…



ほんとは伸ばしたい



でも、またばかにされちゃうよ。



あのときみたいに…。



こ)…小晴は、女の子だよ


ﾄｸﾝ



ずっと誰かに言って欲しかった言葉



わかってる



ボクだって、女の子なんだよ




女の子らしく、可愛いスカートとか
可愛い髪型とかしてみたい




でも



ボクにはそんな勇気がない




こ)…ゆっくり、変わっていったらいいよ



論さんはずるい




ボクが言ってほしい言葉ばかり言って



小晴)……ひっく、ぐす…………っ



お姉ちゃん以外の前で泣いたことないのに




涙があふれる




ｷﾞｭｯ




私は論さんに抱きつく


あまい、だけれど爽やかなサイダーの香り


論さんの声みたいだ


こ)いっぱい泣くといいよ。辛い時は泣いて、
ぼくと寝よ。ね？



小晴)………はい…………。




そうしてボクは眠りにおちた



桃色の貴方の顔を思い浮かべながら

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