２２話 手当てと疑問 ページ23
私は、右腕を抑えて審神者部屋に向かっていた。
鶴丸には内番を頼んでいた為、今の時間帯に廊下ですれ違うことはないだろう。
審神者部屋につくと、包帯を持ってきて応急処置をしようと試みるが、片手では空回りするきりで上手くいかなかった。
そこへ。
コンコン
薬研「入るぜ。A。」
薬研が入ってきた。
薬研「…っ、何が！？」
貴方「……色々あって。…でも、大丈夫よ。」
薬研「…何が『大丈夫』だよ。見せてみろ。」
薬研に言われて、私は腕を見せた。
薬研「こりゃあ、派手にやられたな。…本当に何があったんだ？」
今剣には戦場でやったと言って通用するはずだが、薬研は別だ。私が戦に行っていないことを知っているために、今剣と同じ言い訳は通用しない。
なんて答えるべきか迷っていると、私の想いを見透かすかのように薬研が言った。
薬研「嘘つくなよ？Aの嘘くらいは簡単に分かる。」
貴方「えっ？」
薬研「鶴丸の旦那には劣るが、俺だってAと長い間一緒にこの本丸で暮らしてきたんだ。」
そして、私は今日起きたことを話した。
薬研「なるほどな。……よし。手当ては終わったぜ。」
貴方「ありがとう。」
薬研「ああ。……にしても、変だな。以前の厚樫山で義経公のことは吹っ切れてるはずだぜ。」
貴方「……私もそれは不思議に思ってた。仮に、その時の思いが蘇ったとしても闇落ちしかけるなんて…………。」
そんな話をしているところへ……
???「……Aさん？薬研さん？なんの話をしているんですか？」
郁人が審神者部屋の戸をそっと開けて私たちの方を不思議そうに見ていた。
貴方「郁人？………なんでもないわ。」
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作者名：乃華龍 | 作成日時：2018年2月12日 0時
