23:醜態 ページ24
制服を着ている。
中学校の生徒だ。
息が苦しい、走っている。
雨が降っている。傘はさしていない。
曲がり角を曲がると、脚が進まない。
近付けない。
目の前の、残酷な光景に自分の過ちに気付いて。
懺悔する。
いや、出来なかった。
目が覚めた。
曇りの日。
学校にいた。
目の前にはクラスメイト達が笑っていて、私はそれを見ていた。
夢、だったのか。
椅子から立ち上がると、足元が揺らいだ。
いきなりのことで、目を瞑り、体勢を崩し、膝をつく。
揺れが止んで、瞼を開けると、そこには。
三輪が、心臓から身を流して、見開かれた虚ろの瞳が私を写していた。
嫌、嫌だ、何で？どうして？また、同じ過ちを？あの人を殺したのは私なのに？大切な人を守りたかっただけなのに！
どうして？どうして？どうして？どうして？
嫌、嫌、嫌、嫌！
もう、離れたくないよ。
ごめんね、秀次。
わがままで、ごめんね。
何度も私のわがままに付き合わせて。
眠りから目覚める。まだ瞼を閉じているが、微かな人の温もりと懐かしい、愛おしい匂いがあって、誰だろうと重たい瞼を開けた。
そこには、死んだはずの秀次がいて、私の頭を撫でていた。
「…あれ？夢？」
三輪「悪いな、現実だ」
「え、うわっ」
私の問いに答えが返ってきて、寝惚けていた脳みそが活動を始めた。さーと、血の気が引いていって、身体が硬直する。と、同時に顔が熱くなっていく。
熱い。これでもか、ってくらい顔が熱くなっている。何という醜態を晒してしまったのか、そして見られたのがあの三輪で、その彼は笑っている。
柔らかく、私を見て笑ったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 続き気になるー！本当に面白いです！できれば更新していただきたい。 (3月17日 19時) (
レス) @page29 id: 619c9e8827 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - ここで終わるのはもったいない…続き、気長に待ってますから (8月11日 14時) (レス) @page29 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
Doll(プロフ) - 嫌だ！ (2018年12月21日 14時) (レス) id: 637c8a3b3d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緋イノラ猫 | 作成日時：2018年9月2日 0時
