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今際ページ2

海という歪んだ分厚いレンズごしに見る満月はまるで自分を嘲笑っているようだ。

『お前も嗤うのかよ』

口からは音ではなく気泡がはなたれ沈み自分とは対象的に上へ上へと昇っていく。

そんなことを考えるのは水圧によって潰れていく苦しみを誤魔化すためか、はたまた今際の際の末に頭がおかしくなってしまったからか。

どうしてこうなってしまったのか

そんなのわからない

ホントォォォォォオオに！わからない！！！

自分はさっきまで友人達と旅行していて夕日がキレイという崖で夕日を見ていたんだ！

夕日が完全に沈んでしまいそろそろ泊まっている旅館に帰ろうと後ろから友人の田中の声がして、自分は『ヘィッ！』とへんな頷きをして後ろを振り替えろうとした

そしたら突然背中へと衝撃が来て…

ドボンッ！！！

全身に鋭い痛みがはしった…もう痛みはかんじないが

そして気づけば今、自分は死ぬんだと悟りこうも饒舌に頭の中でおしゃべりしている。

いや〜ホントォォに死ぬのか、自分。

やりたいこといっぱいあったのになぁ

食べたいものもあったし

あ

『冷蔵庫のプリン』

しくった

こんなことになるならプリン食べとけばよかったなぁ

プリンを食べながら仕事のせいで中々観れなかった録画してた呪術廻戦のアニメを観て仕事を頑張ったご褒美の呪術廻戦の漫画を読むはずだった

………

『呪術廻戦…』

やっぱり一番の心残りはそれだな

最終話まで読みたかった

今までプリンや一部の友人にしか興味を持たず、漫画に楽しみを抱かなかった自分が珍しく好きになった漫画

『あぁ、続きが気になる』

そうつぶやき僅かな気泡が口から漏れ出た瞬間

視界が真っ暗にそまり独特な浮遊感を感じた。まるで急に浮き上がったみたいな…

こんどは何者かに上に凄まじい力で引っ張り上げられるような感覚がした