春 ページ1
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≪ザザー.....≫
波の音が耳元で聞こえてくる。
今日は風が穏やかなんだ。
窓の外から潮風と花の匂いが漂っている。
目黒「.....」
花の匂いでゆっくりと瞼が開いていく。
目が覚めても俺の頭が働いておらずボーとする。
ここはどこ.....
目黒「.....」
俺は.....目黒.....蓮.....
ゆっくりと頭を左右を動かす。
『ここは目黒蓮の家』
頭を動かし壁に貼られている紙に見る。
紙には自分の名前と.....家と書いている。
そうか.....ここは俺の家.....
目黒「.....」
ゆっくりと体を起こす。
『黒の本を読む』
あの紙の隣に別の貼り紙が貼られてあった。
黒の本.....？
目黒「.....これ？」
俺の隣には黒の分厚い本が置かれていた。
黒の本の表紙には『絶対に読む』と紙が上から張られていた。
絶対に読むと書かれているため俺は本を読んだ。
目黒「.....」
本には沢山のことが書かれてあった。
それは今まで俺の中で経験したことや人物名が書かれている。
今日は〇曜日.....図書館で康二という人と待ち合わせ.....
本には図書館の地図が細かく書かれている。
目黒「時間.....」
俺は時計という物を探した。
時計は写真を貼られているためそれを探した。
目黒「.....これだ」
俺は壁に飾ってあった時計を見つけた。
時計には８時30分と指してあった。
約束の時間は１０時.....
時間がある.....
目黒「.....」
本が書いてある通りに俺は動く。
俺は生まれつき記憶障害というものを患っている。
唯一の記憶にあるのは俺の名前と近くにある海の記憶。
本には１日体験したことを全部本に書くように書かれているため。
パニックにならずに楽。
だけど記憶喪失があっても普通に言葉がわかり、頑張って話せる。
目黒「.....」
戸棚には家族写真がたくさん飾られている。
木造で外国産の家具が揃っている。
天井は俺の手が届かないぐらい高く。
天井に窓が付いている。
目黒「蕾が開いている」
別の本には植物の観察記録を書かれていた。
昨日の日付にはチューリップの蕾は咲いてなかった。
今日は蕾が咲いている。
目黒「.....」
俺は胸が嬉しくなった。
記憶が無くなっても感情が喜んでいる。
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作者名：桐山ななみ | 作成日時：2023年12月24日 0時
