伝えた言葉と言えなかった想い【約束のネバーランド】

Ｅｐｉｌｏｇｕｅ ページ30

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Ray side_




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"最初の朝だ"



希望の夜明け、始まりの朝──。




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眼下に広がるのはずっと憧れてきた外の世界








ようやく、ここまで来た





大変なのはここからだとわかっていても、


あの塀の外に出られたという事実に安堵する





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右手に持った栞に目を落とす



エマについて来いと言われ、慌てて部屋に持ちに行った







これだけは失えない



たった一つの彼女が居た証






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想像以上に、彼女のいない日々を生きるのは苦しかった





何度諦めようと思っただろう


何度彼女に会いたいと願っただろう



本気で彼女の元に逝こうとしたのだってつい昨日のこと






けれど生きている






彼女に生きてほしいと、幸せになってほしいと言われた






彼女が最期に言葉にした思いを今度こそ叶えよう



そう改めて誓った






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本当は隣りに居てほしかった



この景色を一緒に見たかった






今でも、




ふと横を見れば彼女がいるんじゃないかと思ってしまう時がある



"レイ！"

自分の名前を呼ぶ彼女の声が聞こえる気がする





そんなわけ、ないのに






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あれから1年たった今でも、彼女の記憶は俺の中で少しも色褪せることなんかなくて




目を閉じれば最期に見た笑顔が何度もリフレインする






思えば、彼女は出荷が決まってから一度も泣かなかった


少なくとも、俺の前では





だから、思い出すのは笑顔の彼女ばかり






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もう、言ってもいいよな








ﾚｲ「忘れないよ。A。






ずっと、



愛してる。」








空を見上げ、あの日伝えられなかった彼女への想いを口にした







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Fin.






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