【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ10)

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「nice pass！」

慣れたようにネイティブな英語を喋って受け取ったボールをゴールへ入れた彼。

夏の全中以来、一度もやらなかったパスを出した感想は「久しぶりの感覚」に尽きる。

ボールを求められた事に対して気分が高揚する。

「……大丈夫か？悪い、急にパス出した。」

すぐに駆け寄ってきた彼はバツの悪そうな顔をした。悪いのは下を向いていた僕なのに。

「いえ、余所見をしていた僕にも非はあります。こっちこそ、すみませんでした。」

「じゃ、もう余所見は無しだ。今度はちゃんとしたパス頼む。」

「……はい！」

其れと無く周りに出されたパスを、僕がマークから外れた彼に渡していく。
単純なプレーにも関わらず僕は、とても楽しい。と思った。

バスケを楽しむことを忘れていた僕はとても愚かだ。

この時だけは、あの全中の決勝戦で起った悲劇を忘れられた。

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「おい、不味いぞ……！」

「もう7本取られてる。」

「……ｯチ。こうなったら無理矢理にでも…！」

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追い詰められた彼らがプレースタイルを変えた。

戦術を変えるのは良くあること。
しかし、そのプレーは悪意が含まれていた。

彼についたダブルチームは態とらしい接触や妨害が目立つ。
一般的にラフプレーと呼ばれる危険なものだとすぐに分かった。

「おらｯ！」

足を絡めるような妨害。
彼が転倒する恐れがあるのにも関わらず、強引に進路を妨害する彼ら。
影の薄い僕ではディフェンスの意味が無いと、思ったらしい。

しかし、それは一度も成功していない。
何故なら…

「この程度でラフプレー？笑わせんな。

───…こっちの地元じゃもっと悪質なモン使ってくるチームが山ほどいるんだ。
それに比べたら、てんで話にならねぇ。」

どんな地元だ。バスケなのに物騒過ぎる。と心で呟く。

彼は”慣れている”かのようにラフプレーを躱す。
絡められた足は、左右の足を細かく踏み変えるハーキーステップという技の応用でやり過ごしていた。

「このステップのスペシャリストがチームメイトにいるんでね。年上なのに熱血漢な奴が。」

黒眼帯で隠れていない目を細めて薄く笑いながらエルボーを避けてエルボーで返し、服を握る相手の手を捻る。

えげつない光景に、僕は目が点になった。

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