【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ47)

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ある女使用人の忠誠3 ページ47

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「取り引き…。」

「親の会社、次のページの利益累計見てみろ。」

言われるがままに捲れば、目に飛び込んできたグラフと数字の表。
あれ、と思った時には声が出ていた。

「あんまり良くない…それどころか低下して、」

「俺がJabberwockで活動し始めてから、藍道寺のスポーツブランドが飛ぶように売れてる。他のスポーツ製品メーカーは大打撃受けてる。」

私の親の会社も例外ない。それは言われなくてもわかった。

「お前の妹と婚約者、離婚してるぞ。」

「え…？」

「結婚して一年近くで離婚とは、随分脆い愛だな。妹といえば、金を使いまくってるらしいぞ。」

どうしてそれを。なんて野暮なことは聞かない。この方はあの藍道寺の後継者。
アンタッチャブルに知らぬことはない。

「その取引は、どう為さるお積もりですか。」

「この件はクソ親父から一任されている。ナッシュや担当と相談して断る事が決定した。」

利益が全く見込めない。と愚痴をこぼす若様に、そうですか。と返す。正直、私も同じ意見だった。

いちご大福を食べてお茶を飲んだ後にもう一度、美味かった。と褒めて頂いた所で、部屋のドアが開いた。

「よぉ、羅一。」

入ってきたご友人の方々にお茶を入れるべく、その場を離れようとすると声が掛かった。

「ネネット。」

「はい？」

「……明日は抹茶の菓子を頼む。」

「承知いたしました。」

私は部屋を出て白亜の廊下を進む。
明日出す菓子にリクエストの抹茶をどう合わせようかと悩む。
この屋敷で出会った料理長である夫と意見を交換しようと決めた。

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私の名前はネネット。
我が主にして尊きお方の名は藍道寺羅一様。

全てを失った私に、多くのものを与えて下さった若様に絶対の忠誠を。

財閥界や夜会では知識に富み、人を見る眼があることから『賢者』と呼び名高いお方。
一方で誰に対しても分け隔て無く平等で、我が道をゆく『無法者』と呼ばれるお方。

なんと呼ばれようと私の主はあのお方。
危機が迫れば我が身を挺してでもお守りしましょう。疲れがあるなら甘いモノを渡しましょう。

「…あ、抹茶チーズケーキはどうかしら。」

屋敷の使用人たちは言う。

『若様付きの女使用人の忠誠を侮る事なかれ』

と。

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