【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ4)

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「話だけでも！」

「邪魔だってーの。」

いつものストバスに来た灰崎が、少しうんざりしたようにベンチに座った。

「んだよアレ…。パパラッチの方が数倍利口じゃねーか。」

それを聞いたJabberwockメンバーもどこか遠い場所を見る目をして溜息をついた。
一人、シルバーはイラつきを隠せていないが。

「しつけぇな、NBAのスカウト…。」

あの大会に取材で来ていたUSA大手新聞社によって書かれたスポーツ新聞。
一面を飾るJabberwock。

祭りのように騒ぐ地区の人間を他所に、5人はとてつもなく冷めていた。
NBAに行くつもりなど毛頭ないのだ。

恩人である羅一を支えることを既に決めたメンバーにとって、スカウトの声など雑音に等しかった。

大会後、強さの秘訣を聞きに直撃してきたプロの選手を捌き、迫り来る肉食系女子をやり過ごし、観客たちからのサイン攻めを逃れる。

やっと落ち着いたと思えば、地元のホームグラウンドに現れる始末。そのあまりの執拗さ。

「トンファー取り出した羅一があれほどおっかねぇと思ったのは初めてだ…。」

「にしてもキレ過ぎだろ。あれ見ろ、あれ。」

指で示した方を見ると、ストバスの壁の一部に何かが衝突したような破壊痕があった。
見る人が見ればすぐにわかる。
羅一のトンファーによってついたものだと。

「なんでンなキレやすくなってんだ？」

「……先代当主の指導がスパルタでヤベーんだよ。」

ナッシュの脳裏に、ここ数週間の出来事(レッスン)が思い出される。

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『姿勢は常に正しく！美しく！』

『常に微笑みの仮面を被り、瞳に心の本音を出すな！そんなもので腹の探り合いを制するつもりか！』

『それがダンスだと？生温いわ！！』

『頭から爪の先までの全神経を張り詰めろ！常に見られていると思え！！』

『発音が甘い！もう一度！』

『もっとフランクに接しろ！対応の姿勢を一貫して貫け！』

『人を前にした時はマナーを気にしろ！』

『話しの主導権は常に握る側だ！！』

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「た、大変そうだな…。」

珍しく顔を引き攣らせたシルバーが慰めの言葉を掛ける。

だがそのスパルタのお陰で二人の振る舞いと仕草が洗練されているぞ。と言いたかった。

が、顔色を覗けば──その言葉など到底言える訳がなかった。

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