【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ27)

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「(天音と同じものを…。)」

羅一の母である天音の音楽は言わば『春』

そよ風を思わせて盛り上がりでは雄大な野原や高原の景色を魅せる。

「(氷の世界を魅せるとは…。)」

チラリと音楽団を盗み見て羅一に視線を戻す。

一瞬見えたのは氷に囲まれた雪が舞う舞台の上。独奏を担当する羅一にオーケストラ集団。

「(幼い頃からバスケではなく、音楽や芸術を極めていればこの頃には確実に…。)」

音楽界の天才となっていたかもしれない。

考えているうちに音楽が終わった。
弓を持つ手を静かに下げる羅一は黒眼帯で隠れていない右眼で会場を見渡す。

誰から始めた訳では無い、一斉にワァｯ！と鳴り始めた拍手の音によってようやくミコトの思考が戻り、演奏が終わったと理解した。

近寄ったナッシュがヴァイオリンを回収がてら、ついでに交わしたハイタッチ。
固い絆を見せつけられる。

「Blabo！」

「It was a nice performance! 」

「Very nice person.」

「Angkor please！」

まだ鳴り止まない拍手の中、ミコトはハッとして顔色を変える。
今日呼んだ友人の中には音楽評論家も数人いることを思い出した。

携帯を操作しながら足早に出て行こうとする評論家たちを見て、先を越されたことを理解する。
羅一の音楽に思考を奪われた自分が愚かしく思えた。

「(音楽界に引きずり込まれてはあの小僧どもと離れてしまうではないか…！)」

バスケ仲間であり羅一を支えるJabberwock。バラバラになる可能性を杞憂に思えず、ミコトは控えていた部下に統へ連絡を飛ばす様に言いつける。

羅一を馬鹿にした7人ほどの青年たちは実家から勘当。アンタッチャブルを敵に回したくないための措置がそうなった。

後日、藍道寺財閥には羅一の音楽的才能への問い合わせ、スカウトが殺到。
既に話を聞いた統が沈静化を進めていた。

天音にことの次第を話したミコトはとんでもないカミングアウトを受けた。

「私の息子ですし、あの子が幼い頃から私も──音を奏でる度に氷の世界を魅せられてきましたの。」

いち早く才能に気づいたにも関わらず、音楽の世界が羅一に合わないことを理解した天音はバスケを優先させたという。

それを聞いてミコトは、立派に母親をやっている。と褒めた。

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