【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ23)

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アメリカ四月…──。

日本の誠凛高校では、光と影が出会い原作が始まった頃…。

羅一とナッシュは社交界にデビュタントを果たしていた。

『皆様、お初お目にかかります。
藍道寺財閥、後継者としてご紹介いただきました。藍道寺羅一です。
右に控えるのは私の幼馴染みであり、右腕のナッシュ・ゴールド・Jr.──…

以後お見知り置き下さい。』

流暢で上品な英語が会場であるホールに響く。
マイクを使わないにも関わらず、行われた自己紹介で見事様々な人々に己を見せつけた羅一。

傍に控えるナッシュも、右腕としての務めを忠実に果たすために一礼をする。

日本と違い、アメリカの学校は大体が9月で新学期。大学も例外ではない。
セメスター制(二学期制)を取っているＨ大学。
学力さえあれば留学・入学可能。

何と2人はそれを利用して後半期に入学してしまった。かつては父の統も通った世界最高峰の名門大学。

通っていた高校は自主卒業。高校側も二人の優秀さに舌を巻いて納得している。
…むしろ、世界大財閥の後継者が一般校に入学した時点で色々おかしいが。

大学に入学した一月。
キャンパス内で、それはそれは大騒ぎだった。
美人系男子二人組が途中入学。
しかも藍道寺財閥の後継者とその右腕だ。

女は追い掛けてくるわ、媚を売ろうとするわで散々である。
羅一がトンファーを振り回そうとするのを何度留めたことか…。ナッシュは頭を抱えたくなった。

会場内を見回せばそこらにいるご令嬢たちが頬を染めて二人を見ている。
ついでに言えば、どこかの家の子息もポーッとしている。

……やめろ。欲望のこもった目で見るな。寒気が止まらねぇ。
おいクソババア。サムズアップすんな。何が良くやった、だ。

人の波の中、ニヤニヤとしている祖母ミコトを恨めしい目で見つめる二人。

社交界と言えばヨーロッパ映画などである舞踏会を想像すれば容易い。

「ナッシュ様、私と踊って下さいませ！」

「私とどうか…。」

「押さないで下さる！？」

「邪魔よ！」

顔を赤くする令嬢から鬼の形相で言い合いを始める令嬢。
囲まれたナッシュは内心げっそりしながらやんわりと距離をとる。

「(羅一の奴…は…──え”……。)」

横目で幼馴染みの方を確認すればもっと凄いことになっていた。

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