【黒バス】藍色のバスケ〔C〕【男主】 (ページ14)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:330,461 hit

107 GAME ページ14

.

「今年の全国中学校バスケットボール大会。
三連覇を賭けた決勝戦を前に、準決勝で僕は試合中に怪我を負いドクターストップで決勝を欠場しました。

相手は荻原くんのいる明洸中だったのに…。」

「今年の全中なら見に行ったよ。仲間と。」

意気消沈していた僕は、彼の言葉に思わず背筋を伸ばす。

「本当に──巫山戯た試合だった。」

辺りに漂う冷たい威圧感。
背筋に氷水を掛けられた錯覚に、ブルリと身体が震えた。

「……っ僕が起きた時は既に第４Ｑでした。
その時です、僕が違和感を感じたのは。」

「両得点の狙ったような数字と、残り時間か。」

「はい。廊下のデイスプレイで見ていた僕は彼らの元に走り出しました。
最後のオウンゴールになったシュート、あれを放ったのは荻原くんだったんです。」

横で息を呑む音が僕の耳に届く。
やるせない悔しさと、悲しみが僕の中でぐるぐる渦巻いた。

荻原くんは試合終了と同時に全てを悟り、僕が呼んだ時は涙を流していた。

「──…あんな試合、望んでなんていなかった。」

赤髪の彼の言葉を思い出す。

『わかった。思い知らせてやろう。帝光の力を。』

ちがう……違うｯ！

思い知らせたかったのは、『キセキの世代の実力』だったんでしょう…ｯ！？
だから、あんな試合をしたんですよね……？

「前人未到の達成感と喜びで盛り上がる会場と違って、僕は、泣き崩れることしか出来なかった。──…あの試合での優勝なんて、ちっとも嬉しくなかったｯ！」

叫ぶようにして言った言葉と同時に、涙が頬をつたう。ポタポタと手の甲に落ちる雫を拭う余裕はなかった。

「全中を終えてからしばらくして、荻原くんの学校へ行きました。でも、そこに彼はいなかった。」

彼は、同級生に手紙を託して

「転校ｯ…してしまった…っ！」

「転校…。」

「手紙を受け取った時、部活でバスケを辞める人が大勢いたとその人から聞きました。
『キセキの世代』との戦いで。」

明洸中だけじゃなく、ほかの学校でも。
顧問をしていた、教職員までも責任を負って。

「それを聞いて、僕は本当に絶望した。『なんて事をしたんだ』って、何度自分を責めたのか分かりません。

責任があるとすれば、彼らを止めることが出来なかった事。……僕の罪だ。」

彼らの一番近くにいたのに。

.