期限付きの恋はじめました【Hokuto.M】 (ページ3)

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松村北斗side

｢北斗、お見合い相手が決まった｣

父から言われた言葉はつまり、政略結婚をする相手が決まったということだ

俺の家は大手会社を経営していて、兄は社長に就任する事が決まっている。次男の俺は、その経営を助けるために利用されるってこと。

北斗｢わかった。だけど、1年間だけ時間がほしい。｣

この1年間は、俺のためだけに自由に生活がしたい

父と母に無理を言って、わざわざアパートまで借りて一人の時間を過ごすことに決めたんだ

そんなことがあってから1週間くらいした頃、いつも行く和食屋さんで1人の女性を見つける

彼女の目はどこか寂しそうで孤独そうで、自分と似ている気がしたもんだからつい声をかけた

人見知りな俺がこんなに積極的になれるなんて自分でも驚いたよ

そしてついには

北斗｢俺と1年間だけ付き合ってくれませんか？｣

そんな事まで口走ってしまった

彼女の答えに期待なんてしてない、出会って数十分でこんなこと言われても誰も頷く人はいるはずがないから

でも、こうして人に自由に告白できるのも今だけだ

『えっと…“1年間だけ”でよければいいですよ』

北斗｢え、いいんですか？｣

『はい。きっと何か事情があるんですよね？』

北斗｢まぁ、それなりに…｣

まさかの答えだった。

きっと彼女も何か抱えてるんだ。俺と似ている気がするっていうのもあながち間違ってないのかもしれない。

『1年間、よろしくお願いします』

北斗｢よろしく、お願いします｣

こうして俺の、俺と彼女の1年間という期限付きの恋が始まった

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