9話 悩みの種 ページ9
日が高く上り、時刻は昼となった頃Aは門へと急いで向かう。
風の翼を使えればいいが場内で使えば着陸時に人にぶつかったり等のトラブルがあるかもしれない。
そもそも何故Aがこんなに急いでいるかと言えばAの上司であるガイアが原因だ。
と言ってもいつものように書類仕事を押し付けられただけだが。
やっと城外、というところでAは思わずずっこけそうになった。
「…………〜っ!なんで!貴方が旅人と一緒に居るのよ!!ガイア!!」
そこには常日頃Aの悩みの種であるガイアが旅人とともにAを待っていた。
「遅かったな」
―――何を平然と言ってるのかこの男!
「えぇ、えぇどこかの誰かの残してった書類のお陰でね!私なんでか自分の名前を書くより貴方の名前書いてる事の方が多いんだけど!!」
Aの言葉に旅人とパイモンは隣に立つガイアに冷たい目を向ける。
ここ最近、旅人とパイモンはAと共にヒルチャールの任務でAと行動を共にしていた。
その合間合間でアンバーや他の西風騎士のことに着いても色々聞いていた。
もちろん悩みの種ガイアのことも。
そもそも盗賊退治の際いいように利用されていたことも含め、旅人もパイモンもガイアが気のいい陽気なお兄さん、と言うだけでもないということは体験済みだ。
ましてやそんなガイアに常日頃振り回されていると知ればAに同情するのは当たり前だった。
「………いいわ、貴方に振り回されるのも今に始まったことじゃないし。さぁ、栄誉騎士様早く任務に赴くとしましょうか」
「悪いな、いつも助かってるよ。これでも罪悪感は感じてるんだ。それでも俺じゃなきゃできない任務があるんだ。……Aいつもありがとな」
「嘘つけ!悪いと思ってる人間が毎度毎度押し付けるもんか!」
パイモンは憤慨した様子で声を荒らげる。
旅人はそんなパイモンを宥めつつも同意するように首を縦に振る。
ガイアはそんな2人の様子に心外だと言わんばかりに肩をすくめる。
「………そう?なら、しょうがないわよね。………いや、分かってはいるのよ!?ジンさんの右腕だし、仕事もそりゃ多いわよね………。だったら私に出来る仕事は任せてもらった方がいいのかしら……?」
「おい!信じていいのか!?嘘かもしれないぞ!」
驚いてAの周りをぐるぐる回るパイモンを見ながら旅人は”この人こういうところがガイアに振り回させる理由なんだろうな”と察してもう何も言わなかった。
10話 麗らかな日のお茶会→←8話 振っちゃいけない話もある
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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時