明日、雷が堕ちても。【ガイア】 (ページ5)

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5話本降りページ5

重たい戸を押し中へと入る。
自宅へ戻る頃には雨は本格的的に降り始め、Aはより痛む頭の所為で立っていることも儘ならなかった。

それでも何とか足を奮い立たせ、虚勢をはる。

「おかえり、A！怪我したりしてないか！？」

自宅にはAの無事を祈り待ってくれている人が居る。

「ただいま父さん。大丈夫よ。……あぁ、でもあんまり大きい声は出さないでね？雨の所為で頭が少し痛いのよ。」

Aは父、カロンに苦笑を零しながら答える。
カロンは洗面所の方からタオルを持ってくるとAの頭に被せてやる。

「暖かい飲み物もっててやるから取り敢えず2階に上がってろ。髪、ちゃんと拭くんだぞ？」

「はいはい。」

家に着くまでは頭痛とガイアの意図の不明の行動に気を取られていたが、家に着いてしまえばゆっくり出来る。
頭痛はどうにもならなくとも取り敢えずガイアのことは、明日に持ち越しだ。

2階に上がり奥の部屋を目指す。Aの部屋は通り過ぎてしまった。

カチャリとドアが音を立てて開く。
部屋には10歳後半程の少年が眠るベッドがある。

「ただいま。マルク」

底に眠るのはAの義弟だ。
弟のマルクはある日からずっと眠りについたままだ。
Aが騎士になることを目指した日。
かつて冒険者をしていた養父が冒険から身を引いた日。

そして、Aが養母を殺してしまった日からマルクは眠ったままだ。