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11話 落ち着かない ページ11

「あらあら♡」

Aの言葉を聞いたリサは心底楽しそうに声を上げる。当の本人は不貞腐れているが。

「真に受けないでください!」

Aは憤慨するがリサはそんなことは知らんと言わんばかりに詮索を開始する。

「距離近いものね、2人とも」

「誤解です、私は通常よりパーソナルスペースが狭いだけです」

楽しいお茶会の筈がいつの間にか尋問になって言った。

相手がアンバーであれば珍しくAが冗談を言ったと思ってくれそうだったがリサが相手では口じゃ敵わないのはわかっていたはずなのに思わず取り返しのつかないことを言ってしまった。


「〜〜〜!私、この後仕事があったような気がするので今日はこれで失礼します!また手伝うことがあったら言ってください!」

逃げるが勝ちと言わんばかりに早口に話題を切り上げ図書館を後にする。

リサは今日はありがとうね、と言いながら手を振り見送る。


「うふふ、冗談で言ったって言うのならあんなに慌てなくってもいいのに……。嘘がつけない子ね」

Aがいなくなりヒルチャール語を叫ぶ少女の声を聞き流しながらリサは優雅な午後を楽しんだ。














カツカツとヒールの音を鳴らしながらリサに揶揄われたAは落ち着きなく仕事を探す。

押し付けられることも大半だが、そもそもが仕事人間な所為でなにかしらしていないと落ち着かないのがAだ。

バン!と勢いよく扉を開けとある一室に入る。


「……A?今日の仕事はもう終わったんじゃなかったか?」

ガイアは突然執務室へとやって来たAに驚きながらも声をかける。

「やること無くて落ち着かないから手伝いに来たの。他にも仕事あるんでしょう、そっちやって来て大丈夫よ」

Aはリサに揶揄われた直後で少し気まづくて少し目を逸らしながら答える。

「いや今は急ぎの仕事は無いし、そんなに暇なら今日はもう休んだらどうだ?」

「……アンバー今日しごとだったわよね」

その言葉でガイアはこいつはきっと何言っても休まないなと気付いた。

疲れれば休みたいと言うAだが、そもそも仕事に対しても真面目すぎるが故に基本なにかしら仕事をしていないと落ち着かない人間だ。

ガイアが頻繁に仕事を頼むせいで騎士団に務めた当初よりその性格が悪化しているようにも思うが。

「なら、この書類手伝ってくれないか?すぐ終わると思うがゆっくりでいい」

―――たまには労わらないとだな。仕事が終わったら食事でも奢るか

12話 告白→←10話 麗らかな日のお茶会



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作者名:コカゼ ナヅ | 作成日時:2023年7月10日 2時

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