《テニプリ》私の仕事は監視者です

3話 ページ8

「…え？」


乾はポカンとした

急に何を言い出したんだこの人

という目でAを見ていた



「あ、それとも駆け込み寺の方が良かった？」


なんてけろっとして答えるAに乾は困惑を隠しきれていない



「いやいやいや…えっ？先輩急にどうしたんですか…？」


Aのノリに着いていけてない乾は頭がハテナでいっぱいだった
それとは反対に笑うAは続ける



「最近の乾くんぼーっとしてること多いなって。何かあったんじゃない？」

「っ！分かったんですか…」

「まあね、年長者の勘ってやつ？」


笑いながらそう答えるAに対して

いや、先輩2つしか変わらない……

なんて思った乾だったがそれよりも自分の行動に出ていたことが分かって少し恥ずかしい気がした



「ここには私と乾くんしかいないし、もし良かったら教えて欲しいな。君が悩んでいること」

「その…」


そこから乾はAに今までのことを話した

根拠はないがこの人になら言ってもいい気がしたからだ



「なるほどね。教授くんと2人でダブルス組んでたんだ。それで急にいなくなったかと思えばお引越しか…確かにびっくりだよね」

「はい、いつも一緒だったのに…1番の友達なら教えてくれても良かったんじゃないかって思ってるんです」


そう言ってどんどん顔が沈んでいく乾
Aはそれってさ、と言葉を続けた




「1番大切な人だからなんでも言えるってことはだよ、その逆も言えないかな？大切だからこそ言えないこともある、ってね」

「っ！」


そう言われて乾はハッとなった

そんな乾を見てAは言い始めた



「あと教授の言えなかった理由のもうひとつ、何となく分かるんだけど…」


そう言い、一息入れたあとAは続けた

「私、親が転勤族だからよく色んな場所に行ってるの。もちろんそこで新しい友達とか出来たよ

だけどまた移動って決まった時その子たちにさようならって言えたこと、あまり無いんだ。そう言うと何だか永遠に会えなくなる気がしてね

あぁこの人達ともう会えないんだって。認めたくないの。もしかしたら教授もそうだったんじゃないかな？



また、乾くんと会いたいから、君とダブルスをしたいからって」

4話→←2話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す