《テニプリ》私の仕事は監視者です

2話 ページ50

手塚 side






手術中と書かれたパネルが赤く光っている。空気はとても重く苦しいものだった。俺はそんな中座ることも出来ずその場でずっと立ち尽く
大和部長も同じなのか座らず壁にもたれかかっていた



｢っ…｣

｢手塚くん、落ち着いてください。大丈夫です。きっと彼女ならちゃんと戻って来ますよ｣

｢…はい｣


返事をした声は震えていてとても落ち着いてるとは思えない状態だったが部長も自分に言い聞かせるように大丈夫、大丈夫だ。と呟いていた


俺がもう少し早くに気づいていたら。もしかしたら先輩が傷つかずに済んだのかもしれない。俺が先輩を引っ張って助けれたのかもしれない。
そんなもしもという考えが自分を支配してく





あの時先輩の腕の隙間から見えたのは向かってくる鉄の塊
今思うとあれはトラックだと分かるがその時は何か分からず思わず目をつぶった。その次の瞬間、ドンッと今まで感じたことのない衝撃がきて飛ばされた

衝撃が無くなって目を開けた次の瞬間俺の視界は真っ赤に染まっていた
先輩の夕焼け色の髪も綺麗な肌も俺が着ていたトリコロールのジャージも真っ赤に染まっている。だがそれは俺から出ているものではなかった



｢っ先輩！！先輩！｣


何故貴方は自分よりも俺を優先したんですか
全ての衝撃を先輩が受けていた。俺の事を体を張って守ってくれた

でも、そんなことをしたら貴方はどうなるんですか！


そんな後悔が募る中、カチッと音が聞こえた。先程のランプは消えており中から手術医が出てきた



｢手術は無事成功しました｣


その言葉を聞いてほっとした、だがその後聞かされた言葉はまた俺を絶望へ陥れた



｢ただ頭を強く打たれたのでいつ目を覚ますか…｣

｢っ…もしかしたらずっと先輩は目を覚まさないこともあるということですか｣

｢はい｣



病室に運ばれた先輩はとても痛々しかった
沢山の包帯に巻かれ目を閉じている。このまま目を覚まさない…そんなの嫌だ…っ！
涙を堪えているとポンと肩を叩かれた


｢手塚くん、行きましょう全国。彼女が起きた時びっくりさせるの、いいと思いませんか？そして頬を抓ってやりましょうよ、無茶をするなって｣


そうだ、いつも先輩は俺達が無理をすると必ず怒ってくれた。だが今度は俺達が貴方に怒る番だ



ふと、ポケットに手を入れると血がこびり付いたクローバーが出てきた

柄ではないがこんなものに祈ってしまうのを許してほしい

どうかお願いします。先輩を助けてください

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