《テニプリ》私の仕事は監視者です

声が聞こえるんだ ページ39

不二周助はここ最近ある事に悩まされていた




"…────"


誰？


"────"


誰なの？



少し前から聞こえる声
だが、小さすぎて何を言っているか分からない

天気が悪かったりすると沢山の声が聞こえる。特に嵐の時なんて酷いものだった
ボソボソと何を言っているのか分からない声が沢山聞こえるのだ



声がずっと聞こえて頭が痛い、と母や姉に言っても


偏頭痛かしら

風の音がそう聞こえるだけよ


と言うだけだった



それが治らないまま6月になった


春は特に天気が荒れることはないから特に気にすることなく過ごしていたそんなとき、梅雨入りをした時にとうとう声がはっきりと聞こえたのだ



"アソボ"

"キレイ"

"オイデオイデ"



痛い、頭が割れそうだ

不二の頭の中に声が反響して聞こえてくる



やめて、やめてよ

誰なの


助けて



そう思った瞬間、ポンッと誰かが肩を叩く



｢大丈夫？｣


そう言ってきたのはAだった
声に集中していたからか部活中ということを忘れていた不二は、ハッとなる



｢え、あ、すみません！少しぼっとしてて｣

｢大丈夫大丈夫。確かに天気悪いし気分悪くなるのも分かるなー私も頭痛いし。まあ、無理しちゃダメだからね｣


ぽんぽんと頭を撫で、にかっと太陽のように眩しい笑顔を向けるA

ありがとうございます、そう言おうとした瞬間ぽつっと頭に水滴が落ちる

雨だ、そんなことを思っているとAがわたわたし始めた



｢ボール片付けなきゃ…不二くんは先戻ってて｣

｢あ、僕も手伝います｣

｢ありがとう、助かるよ｣


そう言ってすぐボール拾いに取り掛かる



あれ…？声が、聞こえない

いつの間にか不二の頭を侵食していたノイズが無くなっていた







｢おかしいな…なんであの子たちの声が聞こえるんだ？一応警戒しとくか｣


そう言いながらAは濡れてしまったテニスボールを新聞紙で包んでいた

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