4話 ページ35
「…そういう時だけ流暢に喋んないで」
"キミは心を寄せすぎた。だから大和祐大は───"
「…2年もいればそうなるのかもね。私はどこで間違えたんだろ」
"さぁ?人の気持ちなんてこの世で一番わからないものだから"
「そうだね…私も分からないんだ。あの時、大和祐大にされた時、何故か心が痛くて苦しくなった。ねぇ、"︎︎ "。この気持ちは何?初めてなんだ。こんなに苦しくて辛いもの。今まで経験したことない」
"……経験、ね"
「答えになってない。ねえ、教えて」
諦めたような声をする綿毛。それに反してAは胸を押え、ただ質問をするだけ。自分の知らないモノがなんなのかをただ知りたがっている、まるで親を探している迷子のような目をしていた。
"さっきも言った。人の気持ちは一番わからない。だから答えられない"
「…そう」
"少し休憩して。2年もいたんだ。そのせいもあって疲れているんだよ"
「休憩…」
"ほら、行くよ"
綿毛に押されてAは飛んでいく。そこにはいつものような笑顔はなく、何かが引っかかっている、そんな顔だった。
───────
次に着いた場所はあの時に似た海だった
少し違うのは近くにテニスコートとビーチバレーのコートがあること
「……世界変わってないじゃん。休憩ってどういうことなの」
Aは堤防に登って座ってみた。ゴツゴツとした感覚と日に焼けたアスファルトが少し痛い。ただその痛みもどうとないと思うくらい彼女はあのことのほうがずっと痛かった。
何故、大和祐大を思い出すと痛くなるんだろう。どうしてあの時、あの人はあんなことをしたんだろう…
考えていたからか、Aは近づく一人の人に気づかなかった
「キミはぁ〜どうしたのぉ〜…」
「っ!?」
Aの目の前にいたのは赤いポロシャツを着たおじいさん。見た目とは裏腹に機敏に動いて地面からどかっと出てきた。Aは何が起こったとビックリして動けない。何も言わないのを良かれと思ったのか赤いおじいさんは隣に座った。
「そんな顔〜…しないのぉ」
「…」
初めて会う人。何も知らないのにポンと肩を叩いてくれる。知らない人なのにAは肩を預けていた。懐かしいような、そんな雰囲気に包まれるかのようだった。
「溜め込んじゃぁ、ダメよ〜」
「おーい!オジイ!!」
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雲雀 - まいさんへ俺は亀更新でも楽しみに待っています。なのでゆっくりでもいいので更新楽しみに待っています。 (2021年9月30日 19時) (レス) @page29 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - 雲雀さん» コメントありがとうございます!亀更新ですがよろしくお願いします。 (2021年9月27日 12時) (レス) id: ed3b470f19 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 - 面白かったです。これからの更新頑張ってください!楽しみにして待っています。 (2021年9月25日 15時) (レス) @page32 id: 69d630334c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まい | 作成日時:2021年5月3日 14時