【月島蛍】あなたを落とします！！【完結】 (ページ8)

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朝早く起きて､弁当箱に詰めていく｡

(好き嫌いは無いって言ってたから､きっと大丈夫!)

「よしできた!」

2段の弁当箱を紺色の包で包み､自分のお弁当と月島の弁当箱を鞄に入れる｡

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい｡左には気をつけてね」

「うん!ありがとう」

私は意気衝天の勢いで､玄関を開け学校へと向かった｡

＿＿＿＿＿
お昼

「月島くーん､居ますかー？」

私は包を胸に抱えて､小さな声でキョロキョロ見渡しながら言った｡

「本当に作ってきたんだ」

「うん!得意って言ったらこれしか無いし､落とすなら胃袋からでしょう?」

私は持っていた包を前に出しながら言った｡
月島はそれを受け取った｡

「君はすぐ真に受ける｡」

「?､どういうこと?」

「ずっと考えてな」

「なにそれ!?」

そのまま月島は教室に入ってしまう｡

「……真に受けるってお弁当のこと？」

(実は､"胃袋から"じゃダメなの!?
月島くんって意外と手強かったりして……)

でも､お弁当の包はもう月島の手に渡ってしまっている｡私はその場を離れざる負えなかった｡

＿＿＿＿＿
放課後

美術室の窓から覗く体育館の風景を私は見つめていた｡

「月島くん､食べたのかな……」

もしかしたら､美味しくなかったのかもしれない､と脳裏に浮かぶ｡

「……そんなこと考えたら落とすなんて無理だよね!
今は次､何するか考えないと｡」

黒板に目をやると､"○/△(日)美術部展示会"
と書かれている文字を見つめる｡

「あ!」

「びっくりするじゃん!どうしたの」

「ご､ごめん……何でもないよ」

目をキャンバスに向け､手の中にある筆をまた動かした｡

(月島くんを展示会に誘ってデートしてやる!)

思いついた案は､"月島をデートに誘い私のことを知ってもらおう!"というものだった｡

(私はただの単細胞じゃないんですってところを見せてやる!
月島くんには不審者に見えてると思うけどこの機に汚名返上を……!)

「Aー？」

「わ!何!?」

「ぼーっとしてるからどうしたのかと思って｡」

「ううん､大丈夫｡これ､仕上げないと」

展示会に出す､目の前のキャンバスを見つめ直し､私はそう言った｡