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「海の中にいるみたい……」
吸い込まれそうな何色もの青色に目を奪われる。
そして、その青に着色していく魚たちがとても幻想的だ。
「大人になってから分かるってこういう事なのかな。
子供の時には言葉にならなかったものが
今、頭の中で思い浮かぶから。」
「……今だって子供でしょ」
「っ、そんなことない!
でも、これからまだ知る余裕があるなら私は嬉しい」
(お姉ちゃん、まだ待っててよ。
他にもまだ約束があるけど、今分かるようになるから。)
見上げる程の巨大な水槽を抜け、外に出るとペンギンたちがいるエリアへ出る。
「わっ、小さくて可愛いー!!ヨチヨチ歩いてる!」
1羽、こちらを見つめる小さな瞳にやられ、私は目線を合わせるように屈んだ。
どうやら人馴れをしているらしく、逃げることは無い。
「世界最小のペンギンのフェアリーペンギン」
「おおー!!蛍、博識!
これなら水族館の説明を見なくても大丈夫だ!!」
「来た意味ないじゃん」
「本物を見るためだけじゃだめか……」
「それだけにお金を取られるのは困る」
(あ、確かに……)
納得してしまった。
でも、そんな会話をしているとは知らないフェアリーペンギンは可愛らしくずっと見ている。
私は目を逸らせなくて同じように見続けると、その子のお母さんらしいペンギンが来て、見つめていたペンギンは行ってしまった。
「行っちゃった……ふぐぅ!!」
立とうとした途端、何かが頬に当たってその方向を見ると月島が人形を持って立っていた。
どうやら犯人はその人形らしい。
「何?これ」
「顔が君に似てるからあげる」
「似て……るってどこが!?」
チンアナゴの形をした人形を手に取って、顔を見る。
その顔は半目を開け、どこかボケーッとしている。
(蛍から見て私ってどんな顔してるの……なんか不安になってきた)
オレンジ色のそれを持って先に行ってしまった月島の背を追う。
「チンアナゴに似てるって、、顔でしょ!?」
「そうだけどなにか。
あとそれチンアナゴじゃなくて、ニシキアナゴだから」
サラッと私の言葉をかわしつつ、衝撃なことを私は聞き逃さなかった。
「ニシキアナゴ!?チンアナゴじゃなくて?」
月島に言われて初めての知った。
こいつはニシキアナゴだということを。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2016年5月10日 1時