【月島蛍】あなたを落とします！！【完結】 (ページ29)

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「テスト勉強の日時は連絡するね!」

別れ道まで来ると私は月島の方に顔を向けてそう言った｡
彼はそれに反応するように片手を軽く上げて歩いて行った｡

「取り敢えず……よかった｡」

テストまでには一ヶ月前だが､私が他の失くしたくないものを守るためには月島が必要だった｡
胸を撫で下ろして私は再び歩き出した｡

＿＿＿＿＿
回想

「A」

「ん?何?」

意味深長に私に向ける声はお母さんのものだった｡

「お姉ちゃんのピアノのことなんだけど……」

俯きがちに言った言葉を私は悟った｡
ずっと前から気になっていたことを突き付けられる気がして下唇を噛む｡

「親戚の子に渡そうと思って＿＿」

「やめてっ!あれは……」

家の部屋の一角にある大きなピアノが頭の中から出てくる｡
それは､私の大好きだったお姉ちゃんも一緒に｡

「私が､……今度は私がお姉ちゃんを守る
だから､ピアノだけはやめて!!」

「Aっ……」

最初とは打って変わった声で私を呼ぶ｡
そして､お母さんの瞳に私が映るのが見える｡
静かにそれを見つめてまばたきをする｡

「もし､私が今度のテストで＿＿＿」

＿＿＿＿＿＿

ピアノが弾けなくたって､難聴がどうだったっていい｡
私が"前を向く"のは今なんだ｡

「絶対に守る」

私は決意するように言った｡
その一言はしんとした空間に響くと同時にメッセージを受信する音がなる｡

【いつやるの】

「え?……あ､蛍にまだ連絡してなかった!!」

月島からメッセージが来るまで忘れかけていたことを思い出し､即座に指で打ち込む｡

[蛍はいつなら時間取れる?
午後ならいつでもいいよー]

【なら､明日から】

送信した後すぐに返信が来る｡
私は携帯を閉じることなくその画面を見続けた｡

「蛍ってこんな速く打てるんだ……じゃなくて!
明日!?」

いつでもと打ったので月島が間違えているのではないのはわかる｡
ただこんな早くから始めるとは思わなく呆然と画面を見ていた｡

【一ヶ月前なら明日からだけど】

「え｡」

嘘だと信じてカレンダーを見つめたのち､肩を落とした｡

(はい､衝撃の事実発覚しました｡
私が一ヶ月と行った結果､明日からでした｡)

頭の中はまっしろな私だった｡