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【一つ気がかりだったんだけど】
[……何ですか]
月島と別れたあと、スマホにメッセージが入っていたので返信する。
(最近、蛍から来るなぁ)
不思議に思うが、嫌がる理由は何もないので気にせず月島のメッセージを待つ。
【なんで、名前知ってるの。
それと、名前呼びしてもいいなんて言ってない。】
「……あぁ!!!やってしまった!!」
月島のメッセージを見た私は、思わずスマホをベットに投げる。
「名前……知らないんだった。
う、これ言うしかないのかな。」
今日までずっと月島から気付いて欲しくて、隠し続けていたものはあっけらかんに崩れる。
(まさか、やってしまうなんて……)
あの時、熱くなって言ってしまい、それから何も無かったかのように私は名前呼びをしてしまった。
そのことがきっかけに本物の墓穴掘ってしまうとは思っても見なかった。
[ごめんなさい。
私、知ってるんです。
貴方が蛍ってことも、昔の貴方のことも。]
【怖い】
[ほんとにごめんなさい!!]
(これって、確実に蛍に嫌われた!?)
今更になって、自分の文に後悔する。
"昔の貴方"なんて送れば誰だって怖くてこんな人とは関わりたくないと思うだろう。
[私、昔 蛍の隣に住んでたんだ。
本当は蛍から思い出して欲しかったんだけど……私が思わず蛍の名前言っちゃったからもう隠せなくなっちゃった。]
全てを話すしか術がなく、申し訳無さを含みながら文を打った。
数分間時間をあけて月島からメッセージが届く。
【ふーん。】
[ふーんって……びっくりしないの?]
【びっくりで済まされるの】
静かな怒りの返事にスマホ越しに固まってしまう。
しかし、そんな私を動かすメッセージが送られる。
【本当のことなら許すけど、それで嘘なら本気で嫌うからね】
「え!?……ゆる、してくれるの?」
自分の目を擦ってもそれは本物らしい。
今度こそ最後だと思った私は胸を撫でおろした。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2016年5月10日 1時