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朝練が終わった廊下を歩くと、一人の女子が廊下を走って今通った角を曲がる。
「……」
「ツッキー?どうしたの」
足を止め、見覚えのある髪型の女子の後を見つめると、山口が不思議そうに聞いてくる。
「なんでもない。」
(あの髪型は、彼女のものだ)
わざわざ確認することがない外見に、また教室へ歩き出した。
____
机に向かうと、初めて渡された時と同じ包みが置かれていた。
(机に置くだけ?珍しいな)
その少しの疑問がまるでモヤがかかったように前が見えなくなる。
彼女ならどんなに待ったとしても、ずっとそこで待っている人だと思っていた。
「……」
(……走っていたのは?)
不自然な点が幾つも浮かぶ時には、彼女が走った廊下を同じ様に向かった。
「……確か、この通路は__」
一つしか行き道のない通路を行くと、靴が並んでいた。
その靴が置かれていた場所は、まだ使った朝の体育館だった。
「……ねぇ、」
彼女に声を掛けるが反応しない。
(右から……)
彼女に言われたのを思い出して、掛ければ小さくビクッとしてこちらを向く。
「月島くん?……なんでここにいるの?」
「それはこっちの台詞。」
呆れる様に言えば、それを察したように彼女は笑顔を作り、答えた。
「なんだかここに来たくなって。
……お弁当、分かった?月島くん、なかなか来ないから机の上に置いておいたんだ。」
嘘とも言える行動、空元気の声を出す彼女は、何かあったとしか思えなかった。
(だから、笑顔が嫌いなんだ。)
毎日笑顔を絶やさない人の大体は、作り笑顔が得意だと知っていた。
昔の近所の子がそうだったから。
(気にする必要が増えるだけだ。)
そうやって人から目を瞑って来たはずなのに、どうして、今、俯いている彼女はそんな風に振る舞うのか。
考えれば考える程、僕は面倒臭くなった。
「ふーん。今までの君ならどんなに経っても僕を待っていたばす。
そんな君が、なんで、今日は置いておいたの」
「これも、落とす作戦だったら?
月島くんはまんまと引っ掛かったってことだよ?」
(なんか、はぐらかされた)
イタズラに笑う彼女の瞳は輝いていなく、酷く曇っていたのをこの日は覚えていた。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2016年5月10日 1時