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「じゃーん!」
「何これ。」
「見てわからない?ケーキだよ!」
私が昔から知っているケーキ屋に辿り着き、店からある物を受け取り月島くんに見せる。
「それくらいは知ってる。なんで僕に渡すわけ。」
「きっと、月島くんの好物が入ってるからだよ。」
「なんで、好物を知ってるわけ」
質問詰めに対し、私は出来る限り答えるが、『何故知ってる』と聞かれたら答えづらくなる。
「そ、それは……月島くんに落ちてほしいから。
自分で知ってる限り尽くした結果なの。」
(気づいてるのかな。このお店)
彼は知ってるはずだ。
そう、確信が持てる程、私は自身があった。
「ほら、丁度テラスだから食べれますよー!
私の家でもいいけど、まだダメだよね。」
そう言っていればいつの間にか月島は座っていた。
意外と素直なのかもと思っていた、矢先。
「何ぼーっとしてるの早くしなよ」
「えっは、はい!」
すぐさま、指摘され思わずオドオドする。
(違う。素直じゃなくて、認めてくれたんだ。
なんだか、嬉しいな。)
いつもの月島だったら物を持って行ってしまっただろう。
でも、一緒に座ってくれるのは一番の証拠だと思った。
「ニヤニヤするの辞めてくれる」
「してて悪いですかー?」
わざと歯向かう。
でも、月島は私にいつも言うような言葉を言わない。
「ん?月島くーん?」
「……」
そして、月島は黙ったままだ。
私は月島の顔に手を近づけると、パシッと掴まれる。
「…ねぇ、」
「!?……な、に」
そのまま、じっと、見つめられる。
いくら眼鏡越しでも、見つめられれば脈が速まる一方。
「っ……」
思わず息を呑むと、手が離される。
「なんでもない。」
手の行き場を無くした私の手はケーキへと動かす。
(なんだったんだろう。)
掴まれた手はまだ熱を帯びていた。
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作者名:ユーナ | 作者ホームページ:yuna187.tobio912-8h1i9q@docomo.ne.jp
作成日時:2016年5月10日 1時