三代目JSB、GENEの短編集 (ページ4)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:570 hit

＊続きページ4

『別れよう。亜嵐くん』

顔を上げ、つらそうにそう言った彼女の顔を、俺はバカみたいにじっと見つめる。

意味がわからなかった。

「え、別れるって、何、なんでいきなりそんなこと…」

わかりやすくキョドりまくりかっこ悪い俺に、彼女はさらにつらそうに涙を流す。

『最近、テレビでスキャンダル取り上げられるの多くなったよね。

あの時、私って亜嵐くんにとってなんなんだろうって、

自分の立場が分からなくなっちゃった。

他の女の人と遊んでばっかりで、私のことはほったらかしで。

もう付き合ってられないよ…』

悲しそうに涙を流し続ける彼女を、俺はただ見つめることしかできない。

「ごめん…」

静かに謝ると、彼女は動揺を隠しきれない俺の頬に、そっと口付けをした。

『最後までずっと好きでした。

私の方こそ、ごめんね。

さようなら。亜嵐くん』

彼女はそう言って静かに涙を流しながら、俺に背を向けて歩いていってしまった。

今まで、何人もの人を好きになってきた。

でも、恋の切なさは、A以外の人じゃ、知ることが出来なかった。

あの時、ずっとそばにいる、ずっと好きだと言って約束したことを全て叶えられないまま、

一部は守りきれないまま、俺たちは別れてしまった。

まさか涙から始まった恋がまた涙で終わるなんて考えてもいなかった。

しかもこの場所で。

見上げてみると、あの観覧車が夜空に輝いていた。

その光景が滲み始め、初めて自分が涙を流していることに気づく。

一番最初の涙は、俺が彼女に好きだと告げた時。

観覧車の中で涙を流すAを優しく抱き寄せた。
　

一番最後の涙は、別れを告げながら、今日こぼれた。

俺の涙は途絶えることなく流れ続ける。

観覧車を見上げたまま、色々な思い出を思い出しながら、あの温もりを、匂いを、声を思い出しながら、

俺はただ静かに涙を流し続けた。

こちらこそごめんね。

さよなら、最愛の人。