三代目JSB、GENEの短編集 (ページ2)

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あれから数ヶ月が経つ。

仕事が終わり、家に帰る。

食事はいつもデリバリーで済ませているため、今日はピザを頼んだ。

届いたピザをテーブルに置いて開ける。

一口かじってみるが、味をうっすらとしか感じない。

彼女は今、どこにいるのだろうか。

何をして過ごしているのだろう。

そう考えるとピザが喉を通らなくなり、そのままベッドに身を投げた。

こういうことが、最近多くなってきている。

──────

いつの間にか寝てしまっていた。

起き上がってふとテーブルに置いたままのピザに目を向ける。

ピザの枚数は昨夜から変わっていない。

あの頃だったら、ピザの奪い合いだったというのに。

(そういや、料理作ってくれんのも、部屋の掃除してくれんのも、全部Aだったなぁ、)

俺は昔のことを思い出してしまい、ガシガシと後頭部をかきむしった。

最近、インスタの投稿のエゴサをしていると、頻繁に同じようなことが書かれたコメントを見つける。

『玲於くん、顔色悪い？』

『笑い方が若干ひきつってるような…』

『あの天使のスマイルはどこ〜！』

そんなコメントを見ていると、嫌でも気づいてしまうじゃないか。

「Aがいなくなってから、何もかもやってくれてたAがいなくなってから、

俺は、笑い方すらも忘れちまったみたいだよ、」

俺はベッドサイドにある真っ赤なブレスレットを手に取る。

その瞬間涙が溢れ出し、ブレスレットを濡らしていく。

孤独感に駆られて彼女を探し、途方に暮れる日だってあった。

あの時彼女がどんな思いで涙を流したのか、部屋を出たのか。

今の俺には痛いほどわかる。

自分が思っている以上に彼女を愛していたこと。

そしてそれは彼女に愛されていたからこその幸せだったこと。

今更気づいてももう遅いのに、会うことは出来ないのに、どうしても彼女に会いたい。

あの日、俺が彼女にあげたもの全て彼女の瞳から流れていたように、俺の瞳からも彼女の全てが溢れ出す。

悔しくて、寂しくて、怖くて、会いたくて。

全ての思い出がこの目からこぼれ落ちた後、俺は死人のようにこう言うんだろう。

「俺がバカだった…」