三代目JSB、GENEの短編集 (ページ1)

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＊佐野玲於　Stupid〜真っ赤なブレスレット〜ページ1

曇っているガラス窓を指でなぞると、水滴が散らかりながら一本の線となって落ちていった。
後悔から何も考えられず、俺はただ呆然とそれを繰り返した。

ふと、赤い何かが視界をよぎる。

彼女が忘れていった、いや、置いていったもの。
色がなくなった世界に、唯一色を放っているブレスレット。

まるでこの世から消えてしまったかのようにいなくなった彼女は、呪いのように真っ赤なブレスレットを置いていった。

きっかけは、本当に些細なことでしてしまった喧嘩。

GENERATIONSとして活動している俺と、普通の会社でOLとして働いている彼女。

お互い忙しくて都合が合わない日がほとんどだったが、それでもたまに会う約束をしてはお互い癒されていた。

でもある日、お互い仕事の疲れがピークに達していたのか、ちょっとした口喧嘩をしてしまった。

『全部俺が正しくてお前が間違ってるって言いたいの？』

彼女であるAは、怒りのこもった声で俺にそう言った。

「俺だって疲れてんの。

自分だけ疲れてる、あなたのことは全部私がやってる、みたいな顔してんじゃねぇよ」

イライラしていた俺はつい尖った口調でそう言ってしまう。

怒りで顔を見たくなくなり、つい顔を背けた。

俺たちの間に、長いようで短いような沈黙が流れる。

溜まっていた怒りを吐き出すように大きくため息をついた後、俺は別れのきっかけとなる一言を口走ってしまったのだ。

「はぁあ。Aさ、もう俺のこと好きじゃないでしょ。

最近言い方きついし、全然愛されてる感じしない」

その一言を聞き、彼女がどんな表情をしていたのか、俺はよく見ておくべきだったのかもしれない。

俯き、彼女の顔を見ようとしなかった俺は、彼女を突き放すように、こう言い放った。

「別れよう」

そう言って顔を上げた時、言いすぎてしまったことを後悔した。

彼女は声を上げることなく静かに涙を流し、黙って頷いた後、逃げるように部屋を出ていってしまった。

ドアの閉まる音と同時にその場に座り込んだ。

今でも鮮明に覚えている。

あの日の後悔を、今でも抱えている。