姉と比べないで｡【文スト】【ヒロアカ】 (ページ5)

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Episode，three ページ5

或る日(あくるひ)

百は驚いていた。

驚いていた理由は、個性が出てきたからだ。

百はチョコレヰトが食べたい、そう思い、想像していたら、自分の掌からチョコレヰトが出てきたのだ。

驚きつつ、そのチョコレヰトを食べると、本物だった。

ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ＿＿＿＿

百は急いで家の廊下を走る。

｢(早く、早く行かないと、お母様と、お父様と、それから、Aの元にも…！教えて差し上げなくては！私にも個性が出たと…！)｣

普段廊下など滅多に走らない百を見て、冥土(メイド)や、執事が吃驚する。

ﾊﾞﾝ!

扉が大きな音を立てて開いた。

百の目の前には、両親と、愛おしき妹が椅子に坐(すわ)って駄弁っていた。

百は急いで三人に近寄り、

｢聞いてくださいまし！私、個性出ましたわ！とっても便利な個性なんですの！｣と…

両親はそれを聞き、

｢本当か、百！どんな個性なんだ！見せてみなさい。｣

｢はい、お父様！そうですわね、摩花論(マカロン)が食べたいですわ！｣

そう云うと、掌から摩花論が出てきた。

｢まあ、素敵な個性ね｡摩花論だけじゃ無くて、色々なものも出せるの？｣

｢はい！勿論ですわ！見ててください！｣

百は掌から色んなものをぽんぽん出してくる。

熊の縫いぐるみ、マトリョシカ、フォーク、ネックレス、兎のストラップ…

色々出てきた。

｢もう、百が個性出たのだから、Aも、出てきてる頃なんじゃないかしら？｣

『うん、出てきてもいい頃なんだけどね…出てこないの。私と似て、個性も引っ込み思案…なのかな？』

｢ハッハッハ！Aは面白い事を云うな！大丈夫だ。そのうち出てくるだろう。案ずることはない。｣

父がそう云うと、母も、
｢それもそうね。そのうち出てくるわよ。百みたいに、強くてカッコイイ個性が…｣

なんて、云っていた。

Aはと云うと｡

『(ほんとにそうなんだろうか…)』

そう思っていた。