姉と比べないで｡【文スト】【ヒロアカ】 (ページ12)

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Episode,nine ページ12

母の本音を聞いた翌日。

Aは、一体誰を信じればいいか、分からなくなってしまった。

姉に頼んでも、「お母様は、そんなお方じゃありませんわ。きっと、寝ぼけていたのですわ。」なんて云うのだろう。

きっと、もう両親に愛想尽かされてしまったのだろうか。そんな小説を、一度読んだことがある。自分はそんなことないだろうと思っていた。

でもどうだろう。現実に起きてしまった。考えたくも無いことが…。

其の日から、親に迷惑を掛けないようにと、Aは部屋に居ることが多くなった。

たまに母が「A、大丈夫？お母さん心配だわ。ね、一寸だけ出てきてくれないかしら。」
なんて声を掛けてくる。

駄目だ、駄目だ！！！お母さんの話に耳を傾けてはいけない！

そう何回も思いながら、読書したり、勉強したり、自分だけの時間を満喫した。

＿
＿＿
＿＿＿

ドン！！！

「な、なに！？」

Aはいつものように自分の部屋で、絵を描いていた。

そうしたらAの部屋の扉が、思いっきり開いたのだ。

其処にいたのは、父だった。

「お、お父さ…？どうしたの？」

「……如何したのではない、早く荷物を纏めて此処から出ていけ。」

「…へ。」

急だった。出て行けなんて。自分は何かしただろうか。

そうすると、なにかを察するかのように父が、

「御前は此処には要らない。出ていけ。八百万家の恥だ。此処から出ていくか、祖母さん家に行くか、どっちかにしろ。」

「！厭だ、お、お祖母ちゃん家に行くのだけは厭だ！！！」

Aはお祖母さんが苦手だった。嫌いではない…筈だ。お祖母さんは、人の扱いが雑なのだ。あれをとって来いだの、これを持って来いだの、反抗すれば、殴る蹴るの暴力だ。
その癖、百には甘い。デレデレだ。

だから厭なのだ。

「じゃあ、早く出ていけ。」

グイ＿＿

父に腕を掴まれて、玄関に連れて行かれる。

バン＿

「もう、この家に帰ってくるな、役立たず。御前の部屋の物も凡て燃やしておく。帰ってきたら、許さないからな。」

ガチャン＿＿＿

急すぎて、その場でずっと立っていた。

きっと此処で扉を叩いても誰も出てこないだろう。

如何して自分なのか。何故こんなことにならないといけないのか。

考えれば考えるほど分からなくなっていく。

自分の頬に涙が伝っていくのがわかった。