君ノ笑顔ハ誰ノ物？ (ページ2)

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1《一目惚れ》ページ2

せいやside

大規模のお笑いライブで、舞台袖で観客席を眺めていたら一人の女性が目に入った。

その女性は、目に光なんて無くて、表情が一切動いていなかった。

お笑い芸人として、絶対に笑顔にせなアカンと舞台に立った。

『ぷふ、あは、あはははっ！』

ネタが受けて、笑いが起きる会場で、不思議なほどに先程まで表情が死んでいたとは思えないくらい、可愛くて、眩しい笑顔で笑っていた。

その笑顔に、俺は釘付けになってネタを忘れかけるところやった。

漫才が終わった後、観客に見えないように舞台袖で女性を見つめていた。

漫才を見て笑って、コントを見て笑って…少し涙目になるあの子が頭に焼き付いていった。

｢(なんて可愛い人や…！)｣

何処から来たんや？隣で話している子は友人なんだろうか？誰かのファンでライブに来たんやろうか？

｢せいや？一体さっきからどこを見て…｣

｢な、なんでもないで！？｣

アカンアカン…少し見すぎたわ…だけど、あの人のこと、もっと知りたい。

名前や、誕生日や、出身とかも…全部、全部知りたいと思ってしまう。

オレ、あの人の笑顔に一目惚れしてしまったんや。

(あぁ…あの人の笑顔が)
(あの子の、笑顔が頭から離れない！)