やさしい日々 (慢性心不全) ページ11
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「 涼介?涼介?ゆっくり息するよ、ほらすーっはーっ、」
「 んっくっっ、すーっっ、はーっ、くっ、」
「 うんうん。涼介すっごく上手だよ。」
俺たちの末の弟、涼介は慢性心不全がある。
ステージは4で酸素チューブが欠かせない。
もともと先天性心疾患がありフォンタン手術を受けたけれど数年後に心不全を発症した。
現在20歳で外に安易に出れるわけもなく通信の大学で経済を勉強しているのだ。
「 涼介、勉強進んでる?」
「 うん、なんとか。」
「 ちょっと診させてね。」
自宅の一階で内科をやっている宏太がお昼休憩のときにやってきて涼介の体調を確認する。
「 うーん、ちょっと不整脈出てるね。
あんまり最近わからなくなってきた?」
「 そうだね。慣れてきちゃったかなあ、」
苦笑いを浮かべる涼介。
「 そうかそうか。酸素濃度はそこまで低くないしあんまり心配はしなくて大丈夫だけどなんかあったら困るし、リビングに行こう?」
「 わかった。」
「 動けそう?車椅子持ってこようか。」
「 うん、お願い。」
彼にとっては立ち上がるのも一苦労で
激しい呼吸困難を起こす。
「 はぁっ!!はぁっ、はぁっ!」
「 大丈夫大丈夫。」
強めに背中をさすって
上手く呼吸ができない涼介のサポートをする。
そんなことしかできない自分たちが何よりも悔しいんだ。
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作者名:らぷ | 作成日時:2020年1月12日 15時