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「では、これを……」
「嗚呼。確かに確認した。」
ヤクと金が交換されたのがついさっき。
金を貰った方だけが、その夜景の綺麗な部屋に残されていた。
「よし。これで暫くは__」「はい、ストーップ」
大分前にマスターキーで鍵を開け、ヤクの方が出るまで部屋に潜んでいたA。にやけ顔の女と男二人の後頭部を思い切り殴る。
ひっと悲鳴をあげて女は気絶し、男はうめき声をあげながらよろめき倒れた。
もう一人の男がAに銃を向けてくる。
Aは女の方に銃を向けた。男の方は更に蹴って完全に意識を飛ばす。豪華な紅いカーペットが更に紅く染まった。
それは余りに、一瞬のことだった。これに対処できる人間だなんて、中々居ない。
「誰だ!」
「………さぁ?」
男は青くなってAの方を見ていた。
脇には大量の札束が入って居るであろう鞄が転がっている。
Aは人質だ、と言う思いを込めて女のこめかみに更に銃口を押し付ける。
「何だ?撃つことだって俺は出来るぞ。そんな女は要らねぇ。」
「ふーん」
Aはポケットの中に手を突っ込んだ。
大丈夫。ちゃんとある。
その事を確認すると、女に押し付けていた銃口を話した。
それでも尚、Aに向けられる銃口はそのままになっている。
相手はきっと、伺っているのだ。
自分が何かしたら、きっと撃ち殺す気でいる。
Aはゆっくりと男に近付いた。
撃つぞ!
男が叫ぶ。
しかし、Aは足を止めない。
男まであと五歩、四歩、三歩……。
男との間に緊張感がどんどんと増していく。
しかしAはそんなことは気にせず地面を蹴った。
その様子を見て男は銃を本気で構える。
Aは警備帽を脱ぎ捨てて、男の首に向けて足を振り上げる。
____男の指が引き金を引いた!
「ッ!」
どちらかの声が、喉から薄く漏れる。
しかし、銃口から漏れたのは、その音ではなかった。
カチッ。
「空砲っ”」
革靴は首元を捕らえ、男は驚きと呻きが混じったような声を出して倒れた。
Aはその様子を心底愉快そうにみて嗤う。
「……銃を取り替えられているくらい、気付かなきゃ。」
ポケットの中から実弾が入った銃を出す。
その型番は、男が持っている中身が空の銃と同じだ。
スリをして生きていた頃の自分に少しだけ感謝しながら、Aはドアの向こうにいる軍警を呼んだ。
___
50話記念にイメ画描いて頂きました……!
「嗤う」の方で是非見てください!(文字数が足りなかったので今日お知らせします)
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綾部伊沙(プロフ) - 鯖印の鯖味噌味の鯖さん» 鯖!? 超絶久し振りだな 見てくれてたんですね! ありがとうございます!今から作りま〜す (2023年4月27日 19時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
綾部伊沙(プロフ) - 灯花さん» コメントありがとうございます! 続いてしまいましたね汗 もう少しお付き合い頂ければ幸いです。 今から続続編作りますね〜 コウカイデキルカハベツダガ (2023年4月27日 19時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
鯖印の鯖味噌味の鯖(プロフ) - わーいうれぴ🫶続続編頑張れ! (2023年4月26日 21時) (レス) @page50 id: 18bb949ae1 (このIDを非表示/違反報告)
灯花(プロフ) - 続続編がんばれ!楽しみにまってます! (2023年4月26日 14時) (レス) @page50 id: 118fbd2628 (このIDを非表示/違反報告)
綾部伊沙(プロフ) - 雪見さん» !!?!?? ありがとうございまずッッッッ 今日普通に塾だったしケーキ食べてないわで一寸寂しかったんですよ泣 あぁぁぁ嬉しいです!!覚えていて下さってありがとうございます! めっちゃやる気出ました更新頑張ります!! (2023年4月22日 22時) (レス) id: b1825981c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綾部伊沙 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e8e9c819a37/
作成日時:2023年3月2日 18時