秘密 - knmc ページ8
最近剣持刀也はAのことが好きという噂をよく聞く
私は剣持くんと1年生の頃同じクラスで委員会も同じだった。それも剣持くんはじゃんけんか何かで負けて渋々やっているようだったからいい思い出はないんじゃないかなと思う。
このクラスにはもう1人Aという名前の女の子がいて、その噂を知っている人はきっとその子のことを指していると思ってる
私だなんて思う人はいない
そう思うのにもはっきりとした理由があって、私とは正反対でとても可愛くていつもクラスの中心にいるような人。流石に名字は違うけど
みんな下の名前で呼ぶからどっちが呼ばれているのか分からない
なんてことはなくてその子は大体呼び捨てで呼ばれているから分かる。私のことを呼び捨てするのは誰もいないから。
朝のHR前のちょっとした時間。次々と登校してくる生徒に逆らうように1組の教室に来た人がいた。ずっと竹刀を肩にかけて歩いているものだから誰が見てもそれが剣持くんだと分かる
噂の真実を持っている人がその名前を呼んだらもう確信的だろう
かなりの人数が集まる1組の教室の後ろのドアから控えめに放った
「あの、Aさんいますか？」
剣持くんもそこそこの有名人だからみんな顔と名前ぐらい一致しているのだろう。廊下からはヒソヒソ声が聞こえ、クラスの彼と仲のいい剣道部の男子は揶揄うのように肩を叩いた
「おー、刀也。残念ながら愛しのAちゃんは他のクラスに遊びに行ってるぞ？」
なんてニヤついた顔を隠そうともせずに大きな声で言った
噂って本当だったんだ…
美男美女でお似合いじゃん
嫌でも聞こえてくるそれを聞きたくなくて、ロッカーに荷物を取りに行こうとしていた足を引き返し、静かに前のドアから教室に入ってイヤホンをしっかりと付け直した
「そうですか。じゃあまた来ます。」
私が入る前にキョロキョロと教室内を見渡してから自分の教室に戻って行ったようだ
Aがもう1人いることを知っている人はどのくらいいるのだろうか。ただでさえ同じクラスの子達も当たり前のようにもう1人のAのことだと思ってる
Aが私しかいなかったらこんな思いしなくて済んだのになんて思ってしまう自分に嫌気がさす
お昼休み、いつも一緒に食べている友達の所へと行く
そこには剣持くんも毎日のようにいて、剣道部の子たちと購買で買ったであろう菓子パンを食べている
それは今日も例外ではないようだ
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作者名：めろんぱん | 作成日時：2021年12月14日 23時
