【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ6)

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恋病 - fsm※ ページ6

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「あ、そういえばさ」

「ん？どーした」

「やっと彼氏できた！」

「··········は？」

幼馴染というには浅すぎる私たちの関係はどの言葉を使っても言い表すことができない

クラスは違えど幼稚園の頃から高校までずっと一緒であるにも関わらず、高校入学まで殆ど話したことがなかった

何を思ったのか高校1年で同じクラスになってから急に距離を詰めてきた彼とは社会人になった今でも連絡を取りあっている

中学まではそこそこモテるほうだったと自負しているから彼氏はいたことがあるけど高校や大学では全くできなかった

まあ好きな人がいたのかと聞かれたらNOと答えるのだけれど

つい先日、そんな出会いがなかった毎日が花が咲いたように色鮮やかになった

人数合わせで行った友達主催の合コンにとてもいい人がいたのだ。見た目は不細工ではないしトテモ優しくて趣味に理解があって有名企業で働いている人

その日に連絡先を交換し、何度か会ってお互いを知っていくうちに惹かれていった。正式にお付き合いをしたのは1週間前程

それをたまたま暇だからと電話をかけてきた伏見に報告したら、なんとも失礼な反応が返ってきたところ

久しぶりに声を聞いたのにそれを言った途端切れた電話は、なんの特徴もないホーム画面が指紋だらけの液晶に映っているだけで再び聞き慣れたコール音が鳴ることは無かった。

折角なら祝ってくれてもいいんじゃないかと思った数分後

コール音の変わりだとでも言うように夜遅いにも関わらず来客を知らせるチャイム音が鳴った
カメラを見てみると少しソワソワしているようなよく見知った顔が映っていた

いや、電話切れてから5分も経ってないんですけど

彼の家からここまでタクシーできたとしても普段は20分程かかる

今日は尚更掴まりにくいと思うし、それ以上に時間がかかるはずなのだが

とりあえず玄関の扉を開け、雨が強くなり始めた空の下から伏見を暖かい部屋の中へと招き入れる。

「んで、彼氏できたらしいっすね！」

挨拶も何も無く第一声がそれかと呆れているところに更に言葉を紡ぐ

「どこの誰すか？年上？会社の人？大学の人？まさかとは思うけどネット恋愛じゃねーよな？男？女？俺が知ってる人？おい、誰だよ」

電話で話した時はすごく機嫌が悪そうにキレ気味で言い放ったのに、どこか陽気な口調で言う

でも最後の一言で一気に空気が変わった