▼ ページ43
「…………記憶ない原因さ、ストレスなんだったよね」
「え、うん」
「夢追さんはやめた方がいいよ」
「え、ちょ、ゆり」
オシャレな音楽が流れ、温かみのある店内とは打って変わって、私たちの周りだけ冷たく凍りついているようだった
よく冷えたジュースのコップには結露がつき、コースターに水溜まりができている
「Aのためを思って言うけど、夢追さんはおそらくAのストレスの根本になってる人だから」
「それ本当？」
会社で見てる感じすごく優しくて、頼りになって、しかも私のタイプど真ん中貫いてる人
後輩からも懐かれているように見えるし面倒見が良さそうでいい人だと思うんだけどな
「夢追と距離とってみない？思い出さなくていい記憶だってあると思うよ」
「私は、思い出したい」
私は何を忘れてるの？
夢追さんを好きなことには変わりないから、まだ彼が私を想ってくれているのならやり直したい
‐‐
「あ、夢追さん！」
「西澤、さん。記憶、戻ったんですか？」
「え？いえ、戻ってないですけど。お話したいなって」
「……やっぱり君はどう転んでも僕の元に来る運命なんですよ」
「え？」
独り言のように放たれた言葉を私の耳では拾えなかった
反射のように聞き返すけどきっと言ってる言葉変わってる
「聞いたんでしょ。恋人だったって」
「はい」
ついさっきの話なのになんでもう知ってるんだ。勘がいいのかな、夢追さんは
「なんですか？また僕に惚れちゃいました？」
「えっ、いや、その」
図星すぎて言葉を失う。こんなの肯定しているのと一緒じゃないか
「ふふ、そうですか。では今日から恋人同士ということで、よろしくお願いしますね」
「は、はい。お願いします」
上手い具合にことが進んで、展開が早くて、びっくりしている
ぼーっと夢追さんの綺麗な顔を見つめているとそろそろ昼休み終わりますねという声が聞こえた
その後に私の耳に入った言葉に、通り過ぎていった夢追さんを振り返るも、彼はこちらを見ていなかった
「今度は、逃げられないですよ。手加減しながら、ですね」
彼の後ろ姿を見て脳裏に浮かんだのは、私の首を締める翔の歪んだ笑顔だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 586人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めろんぱん | 作成日時：2021年12月14日 23時
