【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ14)

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相哀傘 - uih ページ14

※百合表現あります

「Aちゃーん！ごめんね。お待たせしました！」

「んーん、全然待ってないよ。」

窓の外を眺めていると可愛らしい声が私の名前を呼んだ

見ていた世界は徐々に薄暗くなっていき、遂には小さな水の玉が落ちてきていた

電気の光も着いていない教室に1人残っていたのは、いうまでもなくういはちゃんを待っていたから

委員会が急遽入ったから遅くなるとの伝言を受け取ったのは確かだが、ここまで時間がかかるとは聞いていなかった

「…告白でもされたりした？」

ふと思ったことをそのまま口に出し、窓の外から目の焦点を彼女に変えると驚いた表情が目に入った

「なんでわかったの？すごい」

「んー、なんとなく？」

実はね…と早速恋バナが始まった。明るい表情の彼女に反して雨の音がさらに強まる。その話を聞きたいとは思わなかった。

「まあ断ったんだけどね。」

「何で？」

「なんでって、Aちゃんがいるもん」

"友達"それが私たちの関係でそれ以下でもそれ以上でもない

たまたま一緒に帰ろうと誘われただけでいつも一緒じゃない。私は彼女に特別な想いを抱いているのかもしれないと思ったこともあるけど、それは全ての人に受け入れてもらえるものではない

だから伝えるなんてことはせず、この気持ちは墓まで持っていくつもりだった

でも、彼女の口から男の子の話を聞くのは辛い

いつか本当に彼氏を作ってしまいそうで

彼女に想いを伝える男の子も少なくない

嫌だなって思ってても直接言ったことは無い。ういはちゃんは優しいから、多分それを伝えたら配慮してくれると思う。

でもそこまで深い関係じゃないから

「そろそろ帰ろー？」

雨が止むことを願って暫く残っていたけど、強くなるばかりで止む気配どころか弱くなるような感じもない

「ういはちゃん？」

声をかけても黙ったままの彼女に再度声をかける

「私、傘持ってない」

夕方は雨が降ると天気予報で言っていたし、朝ういはちゃんが今日午後から雨だもんねーなんて会話をしていたのも知っている

「相合傘、する？」

「する！！」

「折り畳みだけど」

濡れて帰れなんて酷いこと言わないし、かと言って自分が濡れるのも嫌だから2人でひとつの傘を使う

こんなにも強い雨の中折り畳み傘1本で駅まで歩くのはかなり辛いけど、ういはちゃんと一緒に帰れるならなんでもいいと思ってしまう自分がいた