【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ13)

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「ただコンビニ行こうとしてるのにやけに急いでる人いるなーと思ったんすよね〜」

誰かに追いかけられてたりしました？なんて、直ぐにその思考に行く理由が分からない

図星だし。勘がいいのか

それともただ面白がってるだけなのかは分からないけど、中学の頃は良く私のそばに勝手に居座っていた。鬱陶しいなんて思ってない

寧ろそんな関係が好きだった

「なんで分かるの……？」

強がってはいたけど、怖さは増えていくばかりで、それに伴って誰かに相談することもできずにいた

「中学の頃どんだけ先輩の相談受けたと思ってんすか〜？今でもそっち系かなって思いますよ」

自然と涙が溢れてくる

いつも助けてくれるのはガクくんだけだった

久しぶりに会ったはずなのにひどく安心感を覚えるその笑顔と、頼もしく感じる雰囲気がそうさせた

「うちの学校、来てくれれば良かったのに」

「それだと意味ないんすよね…いや、そしたら先輩彼氏できませんよ？？」

なんでお前がいたら彼氏ができないんだよと思ったけど、口に出さないでおく

「なんでこんな暗い中1人で歩いてるんすか。危ないでしょ」

「だって、文化祭頑張らなきゃいけないんだもん」

「あー、だから最近ずっと帰り遅いんすね。」

「うん。」

私はただ話を聞いてほしかっただけなのかもしれない

彼に聞いてもらえばなんでも直ぐに解決する

2年前からずっとそうだった

彼が中学に入学してきてからずっと

「それで、先輩がそこまで俺に聞いてほしい話ってなんすか？」

話聞いてなんて一言も言ってないはずだけど、優しく溶けるような声で言われたら弱い自分を認めてしまう

「助けて…」

気づけば彼に助けを求めていた

自分より1つ下の子に何かができるとは思ってない

だけど彼は満足気に頷いて言った

「やっと言ってくれましたね。ずっと待ってたんっすよ」