【短編集】少しの幸せを貴方に【2j3j】 (ページ12)

今日:36 hit、昨日:62 hit、合計:174,787 hit

偶然 - fsm※ ページ12

私の学校は秋に文化祭が行われる為、今の時期はとても忙しい

部活動に入っていない私は部活を頑張っている子達の分まで放課後作業をしなくてはいけなくて、最近は最終下校時刻ギリギリに学校を出ている

そのため帰り道は真っ暗で、最寄り駅を出る頃には冷たい風が身体を冷やす

暗い中1人で帰っているからか、後ろから誰かが着いてくるような気配を感じる

振り向いてみても誰もいないし、ただの気のせいだと思うのだけど

それは今日も同じで、でもいつもは直ぐに感じなくなるそれが、今日ばかりは何処までもついてくるようで、怖くなった私は歩くスピードを速め、明るい駅内へと飛び込んだ

駅にはたくさんの人がいるからか、つけられているような感じはしない

良かったとほっとしたのも束の間、電車の中では強い視線を感じ、不自然に周りを見渡す。こちらを見ている人はいなくて、暫くすると収まった

1度怖いと思ってしまったら全てが怖くなる
何かに縋り付きたくてイヤホンを耳に差した

同じ制服を来た子達がどんどん降りていく

学校から近いとは言えない距離に住んでいる私

次の駅ではまた別な学校の子達が乗ってきた

そこには見知った顔もあって、でもその子は私が知らない子と仲良くしていて、声をかけようにも出来なかった

私も誰かと仲良く電車に乗って帰ってみたい

最寄り駅を告げる車内音声を聞き今すぐにでも家に帰りたくてドアの前に立つ

明るい駅内から出るのが怖かった
でも何故か、その駅でさえ怖いと感じてしまった

駅を出て1つ目の角を曲がった時、やっぱり何かの気配を感じる

それに、足音も聞こえる気がする

怖くて後ろを確認できない

今まで誰もいなかったのだから、振り返ってみれば安心することができるはずなのに

そうしたら良くない気がして、それに、とても怖くて、出来なかった

走る手前くらいの速度に速めて歩く

さっきの曲がり角以外に曲がり角はなく、ただただ直線の道路を歩いているから、もしが後ろにいるとしたら私の姿を捉え続けることはできる

誰かがいると決まった訳ではないのに、このまま家に帰ったら特定される

そう思って近くのコンビニへと向かい、入ろうとした時、「あれ？」と後ろから声がした

振り返ってみると学校帰りだろうか、見た事のある顔が、見た事のある制服を着て立っていた

「あ、やっぱりA先輩ッスよね。」

中学の頃の部活の後輩だ

「なんでそんなに急いでるんすか？」

「いや、何も無いけど」