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どうだ、私だって日々成長しているんだもん
正直一度も勝てたことのない叶との口喧嘩にも、今日こそ一杯食らわせられたんじゃない？
「へぇ、いいんだ」
なんだか機嫌がよさそうな声音のお返事に頭を捻る
どこに叶がご機嫌になるような話が合ったんだろう、むしろ結構逆を狙ってたつもりなんだけどな
考え込んだ私はにっこりとした笑顔を浮かべている叶がすぐ傍まで近づいていることに気が付かなくて
「好きだよ、大好き。」
いきなり耳元で聞こえた囁き声に思わず飛び跳ねそうになる
いや、実際腰が浮いていたかもしれない
ボスン、とあまり可愛くない音を立ててふかふかとしたソファーの感触を味わった私は放心状態だ
いつもはこんなこと言われないから放心するのも無理はないけど、今放心してしまうのは悪手だったみたいで
私が何も言い返さないのをいいことに、叶は更に距離を縮めながら囁き続ける
「口では生意気言っても僕のことだーい好きなところも。今だって、ちょっと近づいただけですぐ照れちゃうところも」
「叶、わかったから」
止まって！の意を込めて叶の眼前に手のひらを突き付けるも、叶は待ってましたとばかりに差し出された私の手に自身の手を重ねた
「そ、そんな意味で出したんじゃなくて！」
いつのまにか私の指は叶の指に丁寧に絡められていて
いわゆる恋人繋ぎになった状態で、更に、更にと近づいてくる
こんなことをされたのなんて初めてで、頭はオーバーヒートしそうだ
でも、なんとか全部ドッキリなんじゃ？と自分への言い訳を捻り出して
確認しようと今まで逸らしていた目を合わせると、今まで見たこともないくらい熱を帯びた叶の目線に捉えられてしまう
ドッキリでも冗談でもない
分からせられてしまったその事実に、私はぎゅっと目を瞑った
何をされるんだろう
叶の気配はゆっくりと、でも確実に距離を縮めている
溜めに溜めていた私のファーストキスにお別れを告げようとした、その瞬間
『〜♪お風呂が沸きました』
軽快な音楽と機械的な音声が響き渡った
恐る恐る目を開けたときにはもう遅くて
叶は最初に座っていた位置に座り直し、早くお風呂入んなよ、なんて平然と言い放っている
…なんだろう、この複雑な気持ち
もしかして私、最後までされなくてイライラしてる？
違うもん！込み上げてきた気持ちを口に出せなくて、無言で立ち上がり駆け足でお風呂場へと向かった
「雨、降っててよかったね」
そんな叶の言葉に耳を塞ぎながら
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作者名：めろんぱん/みそ漬けキュウリで殴る/翠霞/乃亜/ししゃも | 作成日時：2022年8月12日 20時
