【2j3j】平行線上の想い【合作】 (ページ14)

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ⅱ 君の未来に影あれページ14

「ねぇ明那、私結婚したんだ」

「…は？」

水を一口飲んだかと思うと、突拍子も無いことを言い始める彼女
咄嗟に理解が追いつかなかった俺はぽかんと見つめる事しかできない

そんな反応が予想通りだったのか
それとも言葉にしたのが照れ臭かったのか
彼女は薄くはにかんだ

彼女は俺の高校時代の一つ上の先輩で、密かに憧れていた人
共に過ごした2年間、ずっと気持ちを伝えようか悩んでいたのだが
振られたらどうしよう、とか
もしOKされても俺のことが好きな先輩はなんだか想像がつかないな、とか
高校生の恋愛なんて長くは続かないんだろうな、とか

そんなことを考えている内に時は過ぎていて、結局なんのアプローチもせずに先輩の卒業式を迎えた
その後先輩に会うことは無くて
人伝に大学で彼氏ができたらしいという噂を聞いた時、俺の初恋は呆気なく終わったのだ

それから3年が経った今
焼肉奢るから来なよと連絡があり
少しそわそわとしながら来てみれば、これである

「お、おめでとう、ございます…」

なんとか絞り出した俺の祝福の言葉にはきっと様々な思いが込められていただろう
しかし先輩に届いたのはその内の驚きだけだったらしく、けらけらと笑い飛ばされてしまう

「ほら、指輪。いつ気づくかなぁって待ってたのに、全然気づかないんだもん。明那、鈍いところは変わってないね」

差し出された左手に目をやれば、薬指に遠慮がちに光る、所謂結婚指輪というやつがあって。
それを覗き込む俺がよほどのアホ面だったのか、未だにくすくすと笑みをこぼし続ける先輩

そんな先輩を見ていたら少し頭が冷えてきた
噂を聞いた時点で失恋はしていたというのに、またあの時と同じような気持ちを抱いている自分はなんだかおかしいな、と

だから俺は、大学で出会ったんすか？！とか、え、惚気とか聞かせてくださいよ〜とか
高校生の頃と同じ様本心は隠して、ある程度の線引きはしつつ先輩を揶揄う

先輩はそんな俺に、恥ずかしいから。とか言いつつも頬を赤らめながらお相手との話を幸せそうに語り始めた