貴女が生きてくれるなら【myzm】

いかないで ページ7

「俺も風邪ひいたよ。誰かさんのせいで。軽いけど」


マスクをつけた灰くんがただそれだけ言った

やっぱり何を考えているのか分からない表情で


「わたしは筋肉痛」


「それは誰かのおかげで筋肉ついちゃったから問題ない」


「え……？」


何そのびっくりした顔と笑った




──────笑った





運動全然しないし、笑わないし、人の話を聞くだけだったのに自分の話もするようになったし

わたしを探してくれているし



───────わたしのために探す？


いや、わたしは探してほしいんじゃない、探し出してほしくない。やめてほしい。

自分の思考が変化していることに気づいて、自分自身に嫌気がさす







運動して、笑って、わたしは彼を変えている？



わたしが人に影響を与てえるなんてそんな恐ろしいこと、考えたくない


「詳しく聞かない約束だから聞かないけど、聞いて欲しくなったら言ってよ。聞くから」


「……黛灰は、そんな人だった？」


「そんな人？」


「なんでもない。ごめんね」



どうせ無くなるこの身体を大切にされては困る

あと2年したらわたしから自由は奪われる


辛くてきつい生活が始まるのならその前にいなくなってしまえばいい



"怒られたくないからこんなことしてるんだよ"




なんて言ったらどんな顔をするの？


灰くんの事だからわたしが言わない限りはそれ以上聞かないだろうけど、それがしんどい時もある


教えてって言ってくれたらいいのに。そしたら何を言っても君が傷ついても君のせいにできるのに。



聞いて欲しいって自分から言うなんてできない



助けを求める方法は知らない



「とにかく、今回はほんとに焦った」


「ごめんね」


「お願いだから生きて」


「……」



それは、約束できない

約束しちゃいけない



「せめて、連絡返して。俺はAのこと学校でしか確認できないんだって」


「分かったよ。そんなに悲しそうな顔しないで？大丈夫だから」



私の話を君にする未来はあるのだろうか

あったとしたら、それはきっと、、、、



「気をつけて帰ってね」


「はあい」



今日は金曜日だから大丈夫。大丈夫だから







約束はかならず守るから

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